第七十二話 揺らめく情勢
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違っているわけではない。アスランの言うようにデスティニープランが提唱されなければ連合とザフトは今頃終戦協定――――悪くとも停戦協定は結べたはずだ。そうすれば時代は新たな復興を迎え、平和へと向かう明日に進むはずである。
しかし、一方でハイネの言うように戦争が終わるというのも間違いではない。アスランの主張によって得られる平和はあくまでも前大戦のようなザフトと連合の終戦協定に過ぎず、いつか互いの戦力が回復し、きっかけが生まれれば戦争が再び起こり得ることとなる。
更に言えば、議長が言ったようにデスティニープランが成功すれば戦争そのものが無くなるかもしれない。とはいえ、その先に待っているのは自由の存在しない遺伝子に定められ、束縛された人生となるのだろうが。
「結局俺達は軍人だからな。何でもかんでも上の命令に黙って従えってわけじゃないが、だからといって首を横に振る権利はないさ」
嫌だから、納得できないからといって命令に従わないなどというのは軍の秩序を守る上で確かに無理な話だ。アスランもその言葉に一応の納得を見せ、他のパイロットにも資料を渡しに行くためにハイネとの会話を切り上げてその場から離れた。
◇
デスティニープランを提唱したことによる各国の影響は時を過ぎるほどに大きなものとなっていた。提唱した当初は地球上においては親プラント地域と即刻拒否を示したスカンジナビアを除けば殆どの国が対応に手をこまねいていたといえるだろう。とはいえ、地上の殆どは反ロゴス思想やブルーコスモスへの反発からデュランダル議長に対し支持をえているのも事実であり、どちらかといえばデスティニープラン賛成へと傾倒し始めていた。
「さて、オーブはこれからどう動くべきか……これの対応次第でオーブの今後が決まると言ってもいいと思う。これは我々だけでは対処できないと、或いは我々だけで決めてしまった場合の不都合を考慮して皆さんのご意見を聞かせていただきたい」
オーブで行われた緊急会議――――氏族が中心となり国の政治を行うオーブは未だかつてないほどに大規模な会議を行っていた。上位の氏族だけでなく、下級氏族や氏族以外の国家を運営する上級の役人や官僚、国営であるモルゲンレーテ社の上層部の数人、軍を統括する将軍職の関係者。
司会進行役はユウナが執り行っており、これまでになかった規模のこの会議に殆どの者は浮ついた様子を見せる。
「デスティニープランを受け入れるべきではないだろうか?オーブは連合の一部に加わっていたとはいえ、コーディネーターも多く存在する。それを考慮すれば我々は親プラント派として支持すべきだと思うのだが?」
「何をいう!そのような安易な賛同は危険すぎるぞ!そもそも、徹底的に反対勢力であった連合をレクイエムで屠ったのはザフトではないか!そのよう
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