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真・恋姫†無双~現代若人の歩み、佇み~
第三章:蒼天は黄巾を平らげること その4
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る管輅に、丁儀はさらに苛立つものを、そして同時に、薄ら寒い思いを感じた。皺だらけの顔に浮かぶ表情が、人外魔境を覗き見た者なら浮かべるであろう独特の陰惨な覇気を漂わせ、心身健常でまともな生活をしていると自負する丁儀に、怯えを抱かせたのであった。



ーーーエン州東群東阿県、居城にてーーー


 
 川辺で漱がれてようやく姿を現す砂金のような黄金と、柑橘の表皮の色をそのまま塗りたくったような赤がない交ぜとなりながら、風靡く空を支配しており、それを背景として諸人の二つの雄叫びがぶつかり合う。喧騒は大地をどかどかと揺るがし、瞬く間にそこには血生臭いものが漂い始めた。流星のように一瞬で、しかし見るものすべてにそれを知らせたいと言わんばかりに命が散っていく。無情な光景であった。
 それら人間の営みを目の当たりにして、しかしどこか醒めた眼差しで見下ろしている二人の少女がいた。二人は城壁に登っていた。眼鏡をかけた背の高い女性は手摺に手を置いて、怜悧にも感じられる瞳を戦場に向け、時折その動向を探るように思案しているようだ。また、頭に小動物のような人形を置いた少女は、興味なさげに欠伸をし、柔らかな長い金髪を風のままに靡かせていた。
 人形を頭に乗せた少女は言う。「何事もうまくいかないものですね。私達の実力を示せば、あの分からず屋も従ってくれると思ったのですが」と。彼女にとっては、戦いそのものが望んだ未来ではなかったという事なのだろうか。眼鏡をかけた女性は返す。

「逆にムキになっていますね、あの考えなしの凡愚。馬鹿が考える事は無鉄砲すぎて恐ろしいですよ。『少なければ(すなわ)ちこれを逃れ、()からざればこれを避く』という言葉を知る機会があった筈なのに」
「それに費やす暇を手前勝手な欲求の充足に当てたのだから仕方ありません。ここで討ち果たして、漢室の御世に安寧を齎すとしましょう」
「老人のようにいずれ滅び行く王朝に対する奉公、ですか。私には似合いませんね」
「付き合ってたらこっちまで体臭が酷くなりそうですからね」
「腐敗というなの体臭ですからね。まともな女子がいるような場所ではありませんよ、宮廷なんて」
「ではそこにいるのは一体どんな女性なんでしょうか」
「豚の腸で身を清めるような筆舌のし難い嫌悪感の塊のような女性です。いずれはどうにかしないといけませんね」

 やがて彼女の言葉に応えるかのように、城壁を背にした一軍ーーー以降は自軍と称する事とするーーーが、相手の軍の行く手を遮るような形で包囲していく。鶴が翼を広げるような格好だ。二つの軍が交わる所で、相手はどうにか離れようとしていたが、しかしうまくいかずに退路一つを残して包囲されてしまった。
 それを機として、多少の軍学を諳んじる事ができる書生にとっても、見るに耐えない退屈な嬲り
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