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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
短編 一輝と湖札の物語 A
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方向でね。」
そう言いながら、一輝は三枚の式神を取り出し、湖札は手持ち全てを取り出す。
そして、まずは一輝が力を見せる。
「式神展開、“武”!」
そう、本編では使ったことがあるが、このころ、一輝以外にこの式神を得た人間はいない。
式神を武器の形で展開したものは過去にいたが、武器そのものが式神であることは初なのだ。
今回作り出したのは、自分の身の丈にあった日本刀と、短刀を二振りだ。
次に、湖札が力を。
「式神統合。形状、和弓。」
そうつぶやくと、湖札の持つ式神が宙を舞い、一つに混ざっていく。
そして、その渦の中心に手を突っ込み、引き抜くと湖札の手には立派な和弓が握られていた。
これが、湖札が自ら作り出した技、式神統合。
名前の通り、式神を統合して一つの武器を作る技である。
余談だが、ペスト戦で一輝が作った機尋の弓矢は、今湖札が作り出した和弓のビジュアルを参考にした。
「な、何だ、それは・・・見たことも聞いたこともないぞ・・・」
「まあ、昨日朝起きたら急に手元に来てたやつだからな。うちの神様の機嫌でもよかったんじゃないか?」
「私のも、お兄ちゃん以外には教えてなかったやつだしね。まあ、こんなお披露目になるとは思ってなかったけど。」
そう言いながら、一輝は日本刀を、湖札は和弓を構える。
「待て!今回のルールでお前達が戦うことは禁止されている!」
「何言ってるの?今回禁止されてるのは、式神以外を使うことだぞ?」
「そして、今私たちが使ってるのは式神でしかないんだよ?」
「「そうである以上、これは一切ルールに触れていないぞ!」よ!」
まあ、この兄妹の言っていることは一切間違っていないのだが、普通今までになかった力を使ってくるとは想像しないだろう。
「この、そんな技を・・・」
「持っていたんですな、これが。」
「それに、ルールには触れてないんだからこのまま戦ってもいいよね。」
「というわけで、一気に行くぞ!」
そこからの戦いは、もはや戦いと呼ぶことさえもはばかられた。
鬼道父が式神を向ければ、一輝が先行して切り裂き、援護として位置する湖札が切り残しを貫く。
一輝の日本刀を振りにくいようにと大量に近距離に送ると、一輝は獲物を小刀に変え、小回りを利かせて切り裂いていく。
ならばと遠距離から二人を狙わせてみれば、湖札がそれを正確に穿ち、意味を成さない。
最後の手段とばかりに二人を分断し一輝には遠距離、湖札には近距離で攻めてみれば、一輝は小刀を投げて攻撃を出来そうなものを潰し、動きを阻害すると一気に近づいて切り裂く。
湖札はもはや矢を矢として使わず、両手に握って突き刺していく。
それから、三分とかからずに鬼道父の式神は全滅し、鬼道兄妹の圧勝で幕が下りた。
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