反董卓の章
第9話 「スラッシュ、キィーック!」
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(ほう)で。即席で二千は用意出来たな? 油の部隊は騎乗させろ。玉も、状況によっては馬でやらせるから準備させておけ」
俺は陣に戻り次第、矢次早に指示する。
そこに、朱里がおずおずと手を上げた。
「はあ……あの、盾二様? 最初に門を完全に破壊するのではなかったのですか? その方が、霞さんも諦めてくれるんじゃ……」
「ん〜まあ、出来なくはないけどね。でも、なんかズルが過ぎる気がしてなぁ」
「は?」
本来は舌鋒か罵倒で、激昂させた上で門を破壊、怒って門を開け放って飛び出してきたところで、こちらの軍が援護に来て乱戦に持ち込む。
もしくは、さっきのタイミングでマグナ・エアバーストを一発ぶち込んで恐慌状態にして、全軍突撃でもよかった。
でも、ゼロバーストは極力諸侯に見せたくないし、可能性としては霞がいるかどうかの懸念があった。
できるなら霞を傷つけたくはない。
だから適当な挑発で、誰が篭っているかを調べることにした。
案の定居たわけだから、挨拶代わりに殴って……いや、蹴って、門を半壊させて帰ってきたわけだ。
二里(一km)も離れていれば、何をしたかなんて詳細は見えないだろうという目算もあった。
「ま〜押し込んでの衝車で無理矢理でもいいんだけどね。『アレ』もあるし。とはいえ、手間は掛けたくないし、今回みたいなのは敵が油断してないと使えないしな。まあ、ちょっとめんどくさかったということで」
「め、めんど…………まあ、兵の損失がなく、門に傷を与えたのはいいのですけど」
朱里が渋々納得したように頷く。
いやあ、ごめんね。
実は劉表の爺さんのこととか、雪蓮のこととかでストレス溜まっていたので、その発散がしたかっただけ、なんて言えない。
「まあ、ここから真面目にいこうか」
「……不真面目だったんですね?」
朱里がジト目で俺を見る。
はっはっは……まあ、たまにはねぇ。
「門の片方はもう使いもんにならないから、さすがに諦めてくれるかな? 関落ちるのはもうわかっているだろうし。降伏……は、さすがにないから撤退かな? 上手く行けば無傷で水関を抜けられるかな」
「……また、策のほとんどが無駄になりますね」
「なあに。無駄になればなったでいいさ。戦ってやつは勝つまでの準備で勝敗が決まる。命のやりとりだけが戦ってわけじゃなし」
「はい。そのとおりだと思います」
朱里が頷いて、愛紗たちへの伝令を飛ばす。
この間にも、こちらの策は動いている。
さて……開幕の、先制パンチならぬ先制キック。
その効果はどうかなぁ?
―― other side ――
(間違いない、やつだ!)
先陣の中で腕を組み、水関の様子を
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