反董卓の章
第9話 「スラッシュ、キィーック!」
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けど、この関に篭っている以上、そう簡単にここを抜けられると思うてるんか!」
チラ、と見る先陣の数。
ぱっと見でわかる数でも、三〜四万はいる。
せやけど、それは全軍ではない。
その後ろには袁紹や諸侯の率いる大軍がおるはずや。
現状、この水関にいるのはウチの二万に華雄の三万。
せやけど、守りに徹するならかなりの時間が稼げるはずや。
「霞……俺がここにいるんだぜ? その理由わかっていっているのか?」
「あんさんがいるからなんや! 確かにあんさんの神算鬼謀は怖い! せやけど、たった一人で何が出来んねん!?」
「……あー。そういや……霞には俺の本来の力って、見せてなかったっけ?」
「は?」
盾二の……本来の、力?
「そっかあ……じゃあ、一片だけ見せて戻るわ。で、四半刻(三十分)は待つから、撤退するか降伏してくれよ? 俺も霞を殺したくないからな」
そう言って、門の前に歩みを進める盾二。
上からでは、外壁の影に隠れて見えへんようになる。
なんや?
一人で開ける気か?
関の扉は、大の男が数十人以上でようやく開く鉄の扉やで?
衝車でもそう簡単には――
「ふむ。やっぱり青銅の上に鉄で補強した感じだな。長さは三十cmってところか……まあ、楽勝だな」
な、なんやて!?
「フン!」
なにかが膨れて弾けるような音。
そして――数歩戻った盾二の姿が見える。
その姿は――筋肉が膨れ上がったような、異様な姿やった。
「んじゃいくぜ! 御神苗先輩直伝!」
盾二が駆け出して――外壁の影に姿が隠れる。
と――
「スラッシュ、キィーック!」
ドガゴッ!
ひどく鈍い音が、周囲に響き渡る。
いったい何が……
「ふむ。まあ手加減したしこんなもんか。んじゃ、俺戻るわ。霞、またな」
そう言って、待たせていた馬の背に乗り、敵陣へと戻っていった。
「……なんだったんだ、あいつは」
華雄が呟く。
うちも同感だった。
盾二……一体何を?
「か、華雄将軍! 張遼将軍! た、大変です!」
「なんだ!」
「も、門が!」
!?
ウチと華雄が、階段を降りて大門へと走る。
そこで見たものは……
「なっ!? バカな!?」
「……………………」
ウチらの眼の前に入ってきたもの。
それは左右に開く鉄の門の片方。
その門が、くの字に変形し、今にも壊れて落下しそうになっている姿やった。
―― 盾二 side ――
「ただいまっと。予定変更。霞がいたから四半刻待つ。衝車は……とりあえず下げておいていいや。それと作戦変更、馬を使う作戦
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