反董卓の章
第9話 「スラッシュ、キィーック!」
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算鬼謀で全くと言っていい程、被害なく攻め落とした。
あの盾二が相手なんやで?
一体、どんな奇策でこの水関を落とそうとしてくるか……
ウチには検討もつかない。
「例えどれだけ恐ろしい相手であろうと、我々は勝たねばならん。月のためにもな」
…………っ!
そう、そうや……月のためには、戦りたくない相手であろうとも、戦らなきゃあかん。
例えそれが……盾二であっても。
「それにしても……二里の距離で停止だと? 随分と距離もあるが……奴らは一体何をする気だ?」
華雄が関の上から眺めるように陣を見やる。
それに比べてウチは……未だに決心がつかず、ただ悩むしかなかった。
―― 唐周 side ――
「一体、何をしていますの、先陣は! 昨日から前方でチマチマと!」
あのアホ袁紹が叫んでいる。
全くうるせぇやつだ。
前に出ないなら黙って見てればいいものを。
「先陣は何やら策があるのでは? 劉表のことですから、なんらかの罠でも仕掛けているのかもしれません」
「……まあ、劉表さんなら、そうかもしれませんわね。でも、罠だけじゃ、関は落とせませんわよ?」
俺の言葉に、若干落ち着いた袁紹がそう言って不貞腐れている。
まあ、このアホに同意はしたくないけど、俺もそう思う。
関なんか、攻撃する以外に落とす方法なんてないのだから。
「そうですね……その間に調略に奔っているのかもしれません。内応の準備や合図を送っている可能性もあります」
「……あの劉表さんなら、やりかねませんわね。わたくしの知らない人脈も多そうですもの」
どうやら袁紹は、本当に劉表を苦手に思っているらしいな。
まあ、本来は何進の右腕と呼ばれていたのは劉表であって、アホの袁紹は自称に過ぎないようだしな。
どうも馬元義といい、俺の上官はアホな奴が多いぜ。
ま、だからこそ、俺の才覚が光るんだけどよ。
「あの水関は、虎牢関ほどではないとはいえ、かなり堅固に作られています。先陣が躊躇するのも、何らかの用意があるからなのでしょう」
「まったく……雄々しく、華麗にと命令したのに。こんな調子では命令違反で処罰するしかないかもしれませんわね!」
よく言うよ、このアホ。
その命令がめちゃくちゃだってのに気づいてもいねぇ。
お前の命令は『雄々しく、勇ましく、華麗に進軍せよ』でしかなかっただろうが。
また俺に意見も聞かず、諸侯に指示しやがって……全然懲りていねぇ。
その指示はどうとでも読めるんだよ。
雄々しくしていれば、勇ましくしていれば、本人が華麗だといえば何をしても構わない。
元々が抽象的なんだ。
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