反董卓の章
第9話 「スラッシュ、キィーック!」
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を降りた雪蓮。
自軍のいる中陣へと、足早に戻っていった。
「ふう……景升殿、失礼致しました」
「いや……よい。そうか、孫策の嬢ちゃんとな…………人の縁というものは、なかなかに奇妙というべきか」
「……? 景升殿は、雪蓮と知り合いで?」
「…………まあの。それについてはいずれ、な」
それ以上は今は言えぬ、と顔を顰める劉表。
どうやら、あまり愉快な昔話というわけでもないようだ。
「……ともかく、まもなく水関です。最後に確認を」
「……うむ。では予定通りに、一日かけて防衛陣地を築くのじゃな?」
「はい。そのために三日かけて丸太を用意させたのですから」
そう言って、後背にいる劉備軍を見る。
兵たちはそれぞれ一抱えもある丸太を、一人一つずつ抱え持っていた。
「準備ができ次第、敵を釣り出します」
「そこじゃが……本当にうまくいくのか? 相手は関なのじゃぞ?」
まあ、そう心配するなよ。
関は問題じゃないんだって言ったろ?
「普通、有利な場所から打って出るなどありえぬのじゃが……」
「はい。まあ……関というものは、扉を閉じたまま上から落石や弓を撃つだけで、被害はだいぶ防げますしね。本来、こちらは壁にはしごを掛けて上に登るか、扉を強行突破するしか方法はないのですが……」
「うむ。どうやら衝車を用意しておるようだが……それでも関の扉を壊すのは難儀するじゃろうな」
劉表のいう衝車というのは、中国の破城槌のこと。
城門を打ち破る攻城兵器の一つだ。
こちらも陽動部隊の進軍の時間を稼ぐ間に作成させた。
車輪と屋根のついた台に、鐘をつく撞木のように槌を吊り下げた兵器。
上方からの攻撃に対応するため、幅の広い屋根を作らせて、薄い鉄板を貼り付けた。
これは火矢に対抗するためだ。
「まあ普通はそうでしょうね。ですが……俺がいますから」
「?」
俺の言葉に、劉表は『?』マークで首をかしげる。
まあ、それはおいといて……
「関の扉をこじ開けてしまえば、後は掃討戦になります。ですから出ざるを得なくなるでしょう。その時、こちらは一斉に後退して、防衛陣にまで引き込みます。景升殿は……」
「防衛陣にて応戦すればよいのじゃな?」
「はい。横槍は劉備軍におまかせを」
「ふむ……」
劉表の兵力は一万五千。
だが、練度はうちに比べるとそう高くはない。
だからこその策でもある。
「……正直、儂には相手が打って出るとは思えぬ。だから首を傾げるしかないが……お主がそれをわかってないとも思えぬ。相手を必ずおびき出す方策があるのじゃと信じて、今は頷くとしよう」
「はい、ありがとうございます。必ず引き寄せましょう」
後は……
「朱里、雛
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