反董卓の章
第9話 「スラッシュ、キィーック!」
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―― 劉備 side 水関近郊 ――
「ね〜ね〜、ね〜ってばぁ〜」
「………………」
「もう〜むっつりしちゃってぇ。そんな盾二もきらいじゃないんだけどぉ」
「………………」
「盾二って横顔が格好いいしぃ、その黒い服の下だって実は、かなり鍛えあげられているんでしょ? あ〜ん、抱かれてみたぁい〜!」
「…………っ!」
「ね〜ね〜盾二ぃ、今日ぐらいは私と一緒に閨で……」
ぷちんっ!
あ、またキレた。
「だあああああああああああああああああああああっ! いい加減になされよ、孫伯符どのぉ!」
私の隣で馬に乗った愛紗ちゃんが、大声で叫んだ。
はあ……また始まった。
「毎日、毎日、自分の軍を抜けだしては、ご主人様にべったりと…………この関雲長、もはや我慢ならん!」
「え〜? べっつに、関羽ちゃんの了承なんか求めてないわよ? 私は盾二の傍にいたいだけだもの」
「〜〜〜〜っ! ご主人様! なんとかして下さい!」
「……できるならもうやっているって、愛紗。しょうがないだろ? 言っても聞かないし、公瑾殿にアレだけ毎日怒られても来るんだから……」
そ〜だね〜……
毎日毎日、先陣で行軍する私達の横にきては、ご主人様に求愛している。
今もご主人様は馬に乗っていて、その前に腰掛けて顔をすりすりと擦り付けている。
最初は、周瑜さんをその都度呼んだりしていたけど……周瑜さん自身、もう諦めてきているみたい。
『自軍にいても、退屈だ〜、つまらん〜と言うだけでな。スマンが行軍中だけでいいから相手してやってくれ』
とのこと。
もう疲れ果てた、という周瑜さんの顔色に、ご主人様が諦めたように深く溜息をついていた。
私も最初はムッとしていたけど……もう慣れちゃったよ。
だって、孫策さん……
「どの道、口だけは勇ましいことを言うが、実際に強硬手段には出るまいよ。それぐらいの分別はある……でしょう、孫伯符殿」
「あら。言ってくれるじゃないの、趙子龍ちゃん。私が、盾二に手が出せないヘタレだと?」
「いえいえ、そのようなことは微塵も思いませぬとも。ただ、我が主は身持ちが固い故、色仕掛け程度で落ちるとは思えませぬな」
「へえ〜……つまり、貴方『程度』の色香では落ちなかったのね、盾二は」
「…………ほほう?」
「…………ふふん?」
あああ……こっちもまた始まっちゃった。
どうにも星ちゃんと孫策さんの相性は、かなり悪いみたい。
毎日毎日、愛紗ちゃんの次ぐらいに睨み合っている。
正直、私はこっちにもついていけない。
「星が梁州で散々手をつくしても、お兄ちゃんは靡かなかったのだ。鈴々も無理だと思うのだがなー?」
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