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久遠の神話
第五十七話 北の国からその十三

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「お母さんに言われたからね」
「だからですか」
「大勢で少数と戦うのはね」
 それはというのだ。
「戦争ならともかく」
「こうした戦いではですか」
「僕はしたくないんだ」
 これがコズイレフの考えだった。
「絶対にね」
「騎士道でしょうか」
 大石はコズイレフのその考えに対してこう問うた。
「それは」
「騎士道?ああ、あれだね」
「それに聞こえますが」
「そうかもね」
 言われそのことを否定しないコズイレフだった。
「僕は騎士でも何でもないけれどね」
「剣士ですね」
「騎士と思ったことはないよ」
 それは一度もだというのだ。
「そんな立派な人間じゃないよ」
「騎士は立派ですか」
「僕はそう考えてるんだ」
 朴訥な顔での言葉だった。
「そうね」
「そうですか。それでは」
「戦う時、僕は一人かね」 
 若しくはだった。
「相手と同じ数じゃないと戦わないよ」
「では今は」
「貴方達の誰とも組まないよ」
 決してだというのだ。
「そうして戦うよ」
「そうですか、では」
 大石は高代を見た、そのうえで彼に告げる言葉は。
「私と貴方は考えが全く違います」
「それ故にですね」
「貴方とは共闘しません」
「決してですか」
「はい、絶対にです」
 こう高代に告げたのだった。
「私は今は一人で戦います」
「私もです」
 それは高代も同じ考えだった、彼にしてもこう言ったのである。
「貴方とは考えが違うので」
「それでは」
「はい、私も一人で戦います」 
「今回はですか」
「三つ巴えですね」
 高代は大石に告げた。
「この度の戦いは」
「そうなりますね。それでは」
 ここで完全に分かれた、自然と立ち位置も変わった。
 大石、高代、そしてコズイレフに分かれた、三人はそれぞれだった。
 まだそれぞれの剣は出してはいない、しかし既に戦いがはじまっていてそのうえで向かい合ってそうしてだった。
 聡美はその三人に言った。
「また、戦うのですね」
「残念ですが」
 大石は自分の後ろにいる彼女に返した。
「そうなります」
「そうですね」
「戦いを収める為に戦う」
 矛盾している、これは大石もよくわかっていた。
 だがその矛盾をあえてだというのだ。
「そうさせてもらいます」
「さて、それではですね」
「はい」
 その通りだと言ってだった。まずは大石が己の剣を出した。
 続いて高代が、そして最後は。
 コズイレフが自身の剣を出す。その剣はというと。


第五十七話   完


                        2013・1・28
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