呪われた一族
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スの言っていた言葉を思い出した。
十字架に仕える人間・・・だから『十字架の奴隷』なのだ。
「正直、俺はそんな家系が嫌だった。だってそうだろ?俺の人生なのに、その人生を誰かの為に使うなんて冗談じゃねぇって思ってた」
少しの怒りを滲ませながらスバルは言い、すぐに笑顔を浮かべて続けた。
「けどよ、俺達が初めてクロスに会った時、クロスはこう言ったんだ」
数年前。
妖精の尻尾の入り口で、4人の男女が片膝ついて頭垂れていた。
「今日から貴方に仕えさせて頂く、ライアー・ヘルハウンドと申します」
「サルディア・ルーナサーです」
「・・・スヴァル・ベルテインだ」
「ヒルダ・ディザスター」
それを見たギルドメンバーは一気にざわつき、クロスは4人に近づいていく。
「ライアーにサルディア、スヴァルにヒルダ・・・だったな?」
「はい」
「えぇ」
「おう」
「その通りにございます」
若干堅苦しく答える4人に、クロスは微笑んだ。
「お前達の事なら聞いている。カトレーンの一族に仕える一族だろう?確かお祖母様が『奴隷でも何でも好きに扱って』と言っていたな・・・」
奴隷、という言葉に4人は静かに顔を見合わせる。
少しの間クロスは沈黙し空を見上げ、4人に目を向けた。
「よし。ならば俺はお前達を『家族』として迎えよう」
「は?」
「え?」
「な?」
「ん?」
一斉に顔を上げる。
そりゃそうだろう。奴隷や道具として扱われてきた家系の4人を、家族として迎えると言っているのだ。
スバルがこの時「コイツ、アホじゃねーの?」と思ったのは余談である。
クロスはゆっくりと4人を見つめ、今と変わらない笑顔で口を開いた。
「俺にお前達を奴隷として扱う資格はない。あったとしても、今を生きている人間を奴隷として扱うなど、同じ人間として有り得ない。意志があり、思いがあり、心がある。そんなお前達を俺如きの人間が仕えさせるなど以ての外だ。本来ならば俺に仕えるなと言うところなのだが、それは許されないのだろう?」
まぁ、仕える事を使命とする人達なのだから、仕えるなはないだろう。
「だから俺はお前達を『家族』として迎える。俺の為に動く必要などない」
そう言って、クロスは4人に手を差し伸べた。
「俺のような男が主でもいいのなら、俺の命令はこれが最初で最後だ」
「そん時さ、思ったんだよ。こいつは・・・かなりのアホだって」
「お、おいスバル!」
「けどよ・・・」
まさかのアホ呼ばわりにクロスは腰を上げる。
「アホだけど、俺達の事『奴隷』でも『道具』でもなく・・・『1人の人間』として見てくれる
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