第十話 〜アスナが地球へ行くお話 後編【暁 Ver】
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キャロへ八神部隊長が話を振ったのだった。
突然話は変わるが、機動六課は期限付きのインスタント部隊だ。エリオとキャロはすでにその先を見据えており、解散後は自然保護隊への入隊を希望していた。その関係もあり、この二人は今回の派遣任務ぎりぎりまで自然保護隊への研修へ行っていた。二人とも着替える間もなくその足で出発となったわけだが、たいしたものだと思う。精神年齢はアスナより成熟してるんじゃないだろうか。
「……そんなに見ても、このプリンはあげない」
「いらないわ」
「……一口ならあげてもいい」
「いらないって言ってるでしょ」
あたしとアスナのやり取りを横目で見ながら、エリオは幾分困ったように口を開いた。
「えと、僕もキャロも研修に参加できて楽しかったです。珍しい植物や動物を見られましたし、植物の標本を持ち帰ることも出来ました。だけど……お役に立てなくてすみません」
「エリオが謝る必要なんかあらへん。キャロもそないにしょんぼりせんでええよ?」
昨日、あたし達はエリオとキャロが採取してきた植物の標本を見せて貰ったばかりだ。二人とも楽しそうだったのが印象に残っていた。それに八神部隊長の言う通りで、これと言った意見が出せないのは、あたしたちも一緒なのだ。その時、スバルとエリオの目の前に山と積まれたトーストを達観したような目で見つめていたヴィータ副隊長が口を開いた。
「なぁ、何も海鳴全部に降らせる必要はないんだよな?」
それを聞いたシグナム副隊長が意見を挟む。
「ヴィータ。海鳴全域であろうと一部であろうと、雪を降らさなければならないことに変わりはないんだぞ?」
「いや、だから……あたしはこういう小難しいこと考えんのは苦手だからうまく言えないんだけど……雪が降るには寒くなくちゃなんないだろ。だったら『結界』で一部囲ってさぁ、結界の中だったら外には影響はないよな」
そうか、結界か。その閉鎖された空間内で雪が降るような状況を作り上げればいい。あたしは直接見たことはないけど、八神部隊長の魔法が使える。勿論、結界内の気温を下げる為だ。だけど、気温が低いだけでは雪は降らない──── 雲だ。結界内に雲を発生させるには大量の水を蒸発させ、水蒸気にしなければならない。それにしたって僅かな確率だろう。だけど、大量の水なんて……ある。すぐ傍に。全員が陽光を浴びて輝く湖を見つめた。問題はどうやって────
「私がやろう」
シグナム副隊長が近所へ買い物に行くような口調で告げた。
「何を不思議そうな顔をしている。私の魔力変換資質と愛剣の特性を忘れたか?」
──── 『炎熱』
「こんな使い方をしたことはないが、うまくやってみせる。ただ……かなりの熱量になる筈だ。そ
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