第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
カンクロウ
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たが、それでも彼は余裕の笑みだった。
「やだね」
ミスミの締め付ける力が強まる。死にたいのか! と脅す声に、カンクロウは苦しそうでありながら嘲るように言った。
「バーカ……死ぬのはてめーじゃん?」
「「――!!」」
皆の驚いた視線がカンクロウに集中した。ミスミは終わったか、とでもいうような目付きでカンクロウを見下ろす。ぐにゃぐにゃになったミスミの腕の中、がくんと垂れたカンクロウの頭がふらふらと右に左に揺れている。
「――首の骨が、折れてる!?」
呟いたリーに、ナルトとサクラが目を見開く。首の骨が折れる――それが現すのはカンクロウの死のみだ。くだらん、と我愛羅は呟いた。兄の生死など彼に知ったことではないし、それに我愛羅の兄たるカンクロウがこんなあっさり死ぬわけはないのだ。
止めるのが間に合わなかったか――とハヤテは溜息をつき、ヒルマが「わー死体が出来ちゃったよ」的な顔つきをする。バカが、とミスミが呟いた。
「勢い余ってやっちまったじゃないか……ん?」
カンクロウを雁字搦めにしていた手の力を緩めた瞬間、何かおかしな音が聞えたような気がした。視界の中でなにかがぼろぼろと崩れ落ちた。それは限りなく人肌に似せられた、肌色の樹脂だった。
死んだはずのカンクロウが振り返る。その顔は人の顔ではなかった。剥がれた肌色の樹脂の下、木製の肌と偽物の眼球がこちらを見つめる。人のものとは到底思えない、いや、人のものではないおぞましい笑顔を浮かべて、そいつは言った。
「ジャア、今度ハ僕ノ番」
その声質はカンクロウのものと余りに異なっていた。肌色の樹脂や元纏っていたカンクロウの衣装がはじけ飛び、その中から長い木製の腕が現れてミスミを縛り付ける。灰褐色の衣を纏い、ぼさぼさの茶髪を乱した傀儡がそこにあった。
偽の目玉がみっつ取り付けられた顔に、下顎には「烏」の一文字。
「……傀儡人形!?」
カンクロウが背に背負っていた「それ」を巻く包帯がもぞもぞと動いた。その隙間から突き出した本物のカンクロウの手がすっと動いて包帯を解く。それを見たミスミは目を見開いた。丁度戻ってきたらしいカカシとハッカは、「ああ、傀儡ね」「傀儡遣いか! 木ノ葉では珍しいからな」と一瞬で状況を悟ったらしかった。
――あっちが本体だと……!? こいつ、傀儡師……!
カンクロウはずっと包帯の中、烏を本体と見せかけチャクラ糸で操り、自分の声を使っての演技をしながらミスミが腕を緩めて油断するその一瞬を待っていたのだ。
烏がその両腕を以ってミスミを抱擁する。余りの痛みにミスミはギブアップしようとした。
「ギ、ギブッ……! うああああああ!!」
しかしその言葉は最後まで発し得ない。一層強まった烏の抱きしめる力に、骨
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