暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
最悪といっていい展開
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名の安眠と安息の時間を彼が獲った事なのだろうが、それでも正直焼け石に水という言葉しか思い浮かばない。
衰弱死寸前の人間に必要なのは、決して安眠だけではない。経口摂取を経ての栄養摂取に加え、無論医学的に適切な処置が不可欠だ。
そのうちの全てを、彼は拒絶している。己の身に触れさせる事さえも、拒否し、拒絶している。
よって、彼は自分の事を何でもないとたびたび言うが、それは全く正反対の意見である。ぶっちゃけて言えば、強がり以外の何物でもない。
そんなだから、カグラは傍目から見れば少々過保護に見える発言も決して
ショタコン
(
そんなこと
)
だからではない。本人は大真面目でかつこれ以上ないほど心配して言ってくれているので、レンの方も反論はするが決してうるさがったり煙たがったりはしていない。
だから、カグラがノーシンキングタイムで言った背負います、の一言にレンはとっさに反論ができなかった。
そんな訳で、レンはただ今カグラの背上で揺すられているのだ。とは言っても、カグラはできるだけ振動を抑えるために床を滑るように走ってくれているので、感じられる揺れは無いに等しい。せいぜい聞こえてくるのは、押し付けた
白衣
(
びゃくえ
)
越しに聞こえる命の鼓動、拍動くらいだろうか。
それが鼓膜を震わせるのを感じながら、レンは胸中で鋭く舌打ちした。
対象はもちろん、自らの判断で先行している《黒の剣士》キリトである。
こういう状況下では、どう考えても後続の味方と合流し、情報を共有しつつ周囲を索敵しながら進むのがセオリーなはず。後続の存在を感知できていなかったのならば、まだ言い訳は通るが、認知できていて先行しているとなれば
初心者
(
ニュービー
)
にも劣るバカだ。
間違いなく、六王失格は確定である。
そんなとりとめもない事を思考していると、並行して飛んでいるユイが叫んだ。
「パパとママが接触しました!」
「様子は!?」
カグラが問うが、小さな妖精は何とも言えない微妙な顔をした。驚いているような、困惑しているような、喜んでいるような、そんな顔を。
「ID情報上には、特に問題はありません。私が感知できるのは、私が接触したプレイヤーのIDと、その周囲のID座標だけなんです。だから、パパ達が接触した事は座標上で確認できるんですけど…………」
「何が起こっているかは分からない、かぁ……」
ため息のように、レンは言葉を吐き出す。
理屈は分かる。分かるのだが、なかなか納得できないというのが正直なところだ。
例えば、ユイの頭の中で展開されている
感知
(
サーチ
)
というのは、ちょうど戦艦やイージス艦に搭載されているレーダーのようなものだ。画面上でははっきりとした点として確認できるのだが、具体的な状況は視認するまで判らないの
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