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英雄伝説 零の軌跡 壁に挑む者たち
25話
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けてくるとさっきまでロイドに向かっていた興奮がどこへやら。エリィも答えられる質問だけをして会話を続けさせたので拒絶一辺倒からすっかりエリィのペースになってしまっていた。
エリィはロイドと言っていることは変わらないのだが、会話してしまったディーノは迷ってしまう。この旧市街でバイパーと敵対しているのはテスタメンツだけなので注意すべきなのはテスタメンツだけ。新人らしくリーダーからの命令以外のことはどうしたら良いかわからず、しかし一度戦っているのを見ているため迷ってしまったのだ。

「いや、でもお前ら先輩たちと戦ったじゃないか。そんな奴らを通したら」

「戦ったと言ってもあなたたちにとっては挨拶みたいなものでしょう?あなたのところのリーダーも気にしてなかったし」

「ならさ、会いたいってのを聞いて来るだけでも頼めないか?実は俺達さっきテスタメンツのワジに会って来たんだ。ワジは会いたいつったらすぐに会ってくれたぞ。同じように戦ったの見ただろう?なのにバイパーは会ってくれないわけないだろう?」

後ろから口を挟んだランディに煮え切らなかったディーノはテスタメンツと比べられて混乱してムッとしたが、エリィが駄目押しした。

「そんなに信用出来ないなら私の銃を預けるわ。大切なものだから帰る時には返して欲しいけど、これで入っても戦うことは出来ないわ。それでどうかしら?」

「あーもうわかったよ!そこまですることないってっ!ヴァルドさんに聞いて来るから絶対入んなよな」

いきなり武器を預けると言い出したエリィの駄目押しに、ディーノはもう手に負えないと判断して絶対入るなと念を押してイグニスに入って行った。

なんとか入れくれるかなと皆が溜め息をついたが、そこまで上手く運んだエリィの交渉力に3人は驚いていた。

「気が立っていたから落ち着かせただけよ。こういう交渉は慣れてるから任せて。でもランディ、あのフォローだとテスタメンツと通じてると思われたら危なかったわ」

「こういう手合いはライバルと比べられると張り合うもんさ。子分もそうならリーダーもだ。話が伝わればこっちにもちょっとは気になるはずさ。それよりお嬢の銃を渡す大胆さには参ったねえ。さっき戦ったのに丸腰になっても会いたいと言われたら通さずにはいられんよな」

「ふふ、ありがとう。でもヴァルドって人には通用しないと思うの。ここからはさっきみたいにあなたが代表して話したほうが良いと思う」

広場でのヴァルドの印象は獰猛で暴力的。出来るだけ交渉で済ませたいが、テスタメンツよりも衝動的な分、話して済むとも思えない。
皆、何が起こっても良いように武器や心の準備だけはしていた。

「ヴァルドさんがお呼びだ。入れ」

出てきたディーノが手招きしてイグニス内部に入るとライブハウスらしく
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