1年目
冬
冬B*Part 3*〜もう一度空へ〜
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わかるんだ! そばで見てきたあなたなら一番わかっているはずだろう!?」
俺は声を荒げてしまった。だが、親父さんは全て否定するかのように一言“だめだ”と言った。
「親父、あたしからもお願いします! もう少しだけやらせてください!」
そう言いながら愛華はテーブルに付くほど頭を深く下げる。
「お前ももう大人だ。そんな夢物語ばかり言うのはやめなさい。私からは以上だ」
そう言い放つとカップに残ったコーヒーを全て飲み干し親父さんは立ち上がった。その目はもう俺たちを見てはいないようだった。そんな様子に居ても立ってはいられなくなった俺は椅子を跳ねのけ、埃一つない床へと座り、地面へと頭を付ける。
「お願いします!! 愛華と一緒に夢を追わせてください!!」
そんな俺の行動に驚きつつも、愛華も俺の横に座り頭を下げる。
「親父、お願いします!!」
しかし親父さんの表情は変わることはなかった。そして、俺たちはそこに存在しないかのように目もくれず、俺たちの横を通って扉へ向けて足を進め始める。それを見た愛華は親父さんの背中に向かって叫んだ。
「親父だって昔は夢追ってたんじゃなかったのか!? バンドしてたんだろ!?」
親父さんは驚いた様子で振り返り、お袋さんに“話したのか”と問いかけた。お袋さんの顔は相変わらず優しい笑顔のままだった。それを見て、親父さんは一つため息を零したかと思うと再び話し始める。
「あぁ、私も昔は確かに音楽をやっていた。だが、そんな過去の自分を消し去りたいほどそれは私の人生においての汚点だ」
その言葉に俺の頭はふつふつと煮えかえっていた。まるで俺が、愛華が今までやってきたことすべてを否定されているようだったからだ。そして、俺は既に温まっていた手を強く握りしめる。
「そんな私だからこそ、その世界の厳しさはわかる。悪いことは言わない。君たちは若いんだ。尼崎君もそんな夢は諦めて…」
そこまで聞いたところで俺の中で何かが弾けた。
「ふざけんなよ!! 若いって言うなら夢を追って何が悪いんだ!!」
俺は勢いよく立ち上がり声を張り上げた。愛華はその大きな声にビクッと体を震わせる。
「大声を出すのはやめなさい。近所迷惑だ」
そう言いながら親父さんは再び俺たちに背を向けた。
「また逃げるのかよ!! 自分の夢から逃げたように、俺達からも!!」
扉から出ようとする親父さんの足が止まる。その広い背中は小刻みに震えているようだった。
「自分が上手くいかなかったからって、親の勝手を押しつけて夢を諦めさせて……、そんなのどこが親なんだよ!!」
そんな俺の声に親父さんは勢いよく振り返る。その顔は先ほどまでの硬く冷たいものではなく、怒りに充ち溢れ真っ赤にな
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