暁 〜小説投稿サイト〜
レンズ越しのセイレーン
Mission
Mission Complete ソスピタ
Julius & Alvin
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敵を迷わず殺し続けた。

「――俺は、安らいだ。あの子といる時だけは辛い現実を忘れて、穏やかな気持ちになれた」
「だから、安らいだ、ね」

 メチャクチャに見えて、それでも本当は、ただの父親が大好きな少女だった。

「俺は、俺はあの子を……」

 夜のしじまに惑っていた小さな蝶。
 愛した人を救うために己が命を泡のように散らした娘。
 レンズ越しに独り「世界の本当のこと」を見続けた蒼眸。
 ――思い出すほどにきらめいて。

 ユリウスは夜光蝶の銀時計を握りしめて俯いた。これが、芽吹いた想いの、意味。

「あの子をもっと……」

 どん。アルヴィンが背中を叩いた。ユリウスはかつての弟分に甘え、下を向いて嗚咽を殺しながら、少女との日々を回想した。



 ――もっと愛して、いたかった――

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