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八条学園怪異譚
第四十六話 秋のプールその四
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「スキンシップじゃない」
「それがどう考えても過ぎてるんですけれど」
「何ていいますか」
「まあまあ、とにかくね」
 茉莉也は二人が自分の言うことにどうしても納得しないことを見て話題を変えた、今回の本題にシフトさせたのである。
「今から行きましょう」
「中等部のプールに」
「そこにですね」
「まだ夏服だけれど夜で寒くなりだしてるから」
 ここでこうも言う茉莉也だった。
「泳がない方がいいけれどね」
「水着持ってきてませんよ」
「最初からそういうことは考えてないですから」
「裸で泳げるわよ」
 水着のことを念頭に置いている二人だったが茉莉也にはこの選択肢もあった。
「いざとなればね」
「いえ、裸で泳ぐとかは」
「ちょっと」
「嫌?」
「というか恥ずかしいですよ」
「幾ら女の子同士でも」
「二人共一緒にお風呂入ったりするでしょ」
 茉莉也も愛実と聖花が幼馴染み同士であることは知っている、それでこう言ったのだ。
「今でも」
「しますけれど」
「お風呂ですから」
 プールではないというのだ。
「そうしたことはちょっと」
「しないですよ」
「大胆にはいかないのね」
「はい、ちょっと」
「私達は」
 今の普通の女の子達よりも少し控えめな二人はこう言うのだった、この辺りは真面目と言うべきか小心と言うべきかはわからないが。
 だが自分達のその考えに基づいてだ、二人は茉莉也に言うのである。
「そういうことはしないです」
「海やプールでは絶対に水着です」
「例えそこに誰もいなくても」
「水着着ますから」
「そうなのね、まあ私も女の子しかいない時かあの人と二人だけの時しかそういうことはしないけれどね」
 茉莉也も笑って二人にこう返す。
「裸になることも」
「というか先輩裸で泳ぐなんて」
「本当に大胆過ぎますよ」
 幾ら女の子しかいなくとも、というのだ。
「いや、本当に」
「それはもう相当なものですよ」
「大胆なのよ、私は」
 また居直った茉莉也だった、とはいってもふてぶてしい感じではなくかなり明るい顔で二人に言ったのである。
「だからいいのよ」
「いや、あまりよくないですから」
「ちょっと」
「まあまあ、とにかくね」
 ここでまた話を変える茉莉也だった。何時の間にか二人から離れてその前に両手を腰に当てて立っている。
「行きましょう」
「はい、すぐに」
「何か変なお話ばかりしてますけれど」
 こうその茉莉也に返す二人だった。
「そうしましょう」
「中等部のプールに」
「懐かしい場所なのよね、私的には」
 茉莉也は昔を懐かしむ笑顔にもなっていた。
「だから行くのも楽しみよ」
「先輩中学校もそこでしたからね」
「だからですね」
「そうよ、じゃあ行くわよ」
 
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