第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
サクラ
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らって、吹っ飛んだはじめの体がずるずると地面を削る。更にその腕から発された音に、はじめは耳を押さえて蹲った。つうっと赤い血が耳から流れ出る。はじめの両腕がぶるぶる震えながら持ち上げられ、何かの印を結ぼうとした。しかしその手は印を結び終える前にぱったりと地面に落ち、はじめの頭ががくんと下がった。苦悶の色を浮かべた瞳からしてまだ意識はあるようだが、もう戦える状態ではないだろう。
これからはもう、マナとサクラと紅丸で戦うしかなくなった。
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「はじめ!」
「くっそーてめえら、アタシの仲間と先輩に手ェ出しといてただで済まされると思うなよ!」
マナの隣にはじめに変化した紅丸が飛び降りて、獣人分身を解いた。いくぞサクラ、と自分より小柄なその少女はクナイを構えて言う。マナが走り出して、クナイに結びつけたワイヤーをドスに巻きつけんとするが、それは簡単にかわされてしまう。ドスが袖を捲り上げて、右腕でマナを攻撃しようとした。そうはさせないと、その注意を逸らす為にサクラは手裏剣を投擲する。
――私だって、私だって!
私にだって戦える。私だって忍びなんだから!
四枚の手裏剣を連続で投擲するが、それはドスに届く前に、ザクの手に穿たれた穴から出る空気圧に跳ね返された。自分の方へ飛んでくるそれをなんとかかわす。風が止んだと思った次の瞬間、頭皮が引っ張られる感覚に尻餅をつく。
気付けば後ろに立つキンが、サクラの髪を掴みあげていた。
「あたしのよりいい艶してるじゃない、これ。――髪に気を遣う暇があったら修行しろ!」
そしてぐらぐらとその手を揺らす。髪が右に左に引っ張られて頭皮が痛い。甘いんですよ、という声が聞えたような気がして、視線を左に流せば、ドスに腕を捻り上げられたマナが身長足らずのために空中で宙ぶらりんになっていた。
「いっちょ前に色気づきやがって。――ザク! この色気虫の前で、そのサスケとかいう奴を殺しなよ。ついでに、あのマナとかいうチビもね」
「おーいいねー」
愉しそうなザクとキンに、ドスは「おいおい……」と言うものの阻止する気は全く無いらしい。寧ろクナイをマナの喉元に構えてそれを実行する気満々である。
「動くな!」
少しでも動こうとすると、直ぐに髪の毛を引っ張られてもとの位置に戻される。
――サクラさん……!
目を覚ましたリーは直ぐにサクラの窮状を見てとったが、体が上手く動かない。どうにかして彼女が脱出してくれるかを望むことしか出来ずに、リーはサクラを見つめる。
――体に、力……入らない
悔しさと悲しさと自己嫌悪と怒りと後悔と、様々なものが交じり合って、そして涙となって零れ落ちた。堪えようと必死になるも、涙は止まらず落ちていく。
――私……また、足手まといにしか、なってな
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