フレデリックとヤンデリカ
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を出してそう言うラビアンにツッコむハッピー。
「公演する舞台が不評に次ぐ不評。やがては役者達も私の劇に出る事を恥に思う始末・・・脱サラしてこの道に飛び込んだのが30年前・・・夢を追う私に妻は愛想を尽かし出ていきました。私に残された道はもうこれしかないというのにっ!本当にありがとうございます!」
「礼を言うトコ間違ってるよ」
カーテンに隠れ泣くラビアンにグレイもツッコむ。
「そういう訳でせっかく来て下さったのですが舞台は中止なのです。ありがとうございます」
そうか、なら仕方ない、とルーシィ達が帰ろうとしたその時!
「フン。何かと思えばそんな事か」
突然エルザが口を開いた。
ずっと黙っていたティアが溜息をつく。
「役者ならここにいるではないか」
「えーーーーーー!?」
「か、輝いてる!」
これでもかというほどキラキラしたオーラを纏うエルザの発言に、ルーシィは再び叫んだ。
エルザと長い付き合いで彼女の性格を知っているのか、ティアは「やっぱりね」と呟く。
「発声練習しておいて正解だったな」
(そんなに役者やってみたかったのか・・・)
ハッピーがそんな事を思いながらエルザを見つめる。
「皆さん・・・」
「そうね・・・なんか面白そうかも」
「火吐く野菜と火吐く果物!俺はどっちをやりゃいいんだ!?」
「そんな役ある訳ないでしょバカナツ」
「あい」
「アンタの夢はこんなトコロじゃ終わらせねぇよ」
口々に傘下を承諾するメンバー(1名除く)の言葉に、ラビアンの目に涙が浮かんだ。
そして口を開く。
「まあ・・・やらせてやってもいいかな。チッ、素人が・・・」
「そこは『ありがとう』って言わねんだ」
「それにしてもひどい台本ね・・・」
「ハイ・・・ありがとうございます」
公演は一週間後。
練習も大事だが、練習より何よりまずは配役、という事で役を決める。
あるのは主役のフレデリック、ヒロインのヤンデリカ、敵役のジュリオス、ジュリオスの下僕のドラゴンの4つだ。
飛ぶ事の出来るハッピーはドラゴンが空を飛んでいるよう見せる時に必要な為、そして役がドラゴンを除いて人間の為、黒子である。
「さて、どうする」
「私裏方でよろしく」
早速言ったのは、意外にもティアだった。
脚を組み、肘を曲げたまま右手を上げる。
「え!?ティア裏方なの!?」
「・・・悪い?」
「そういう訳じゃないけど・・・ほら、ティアって美人だし姫役なんてどうかなーと」
「嫌、絶対嫌、死んでも嫌、お断りよ」
そこまでか、とルーシィが面食らう。
「ティアって目立つの嫌いなの?」
「えぇ、嫌いよ。だから裏方」
いやいやいや。
普段魔法界を騒がせている
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