フレデリックとヤンデリカ
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ら・・・うぷ」
「ナツ、着いたよ。しっかりして」
既にグロッキー状態のナツの右手首を必死にハッピーが引っ張る。
「なるほど。客足の遠のいてる劇場を俺達の魔法を使って盛り上げてくれって話なんだな」
「そーゆー事♪面白そうでしょ?」
例の如く大荷物のエルザの少し前を歩くグレイの言葉に満面の笑みを浮かべるルーシィ。
劇場を盛り上げるだけなら何かが壊れる心配もなし、しかもあまり戦うのが得意ではないルーシィにとっては打って付けの依頼だった、という訳だ。
「しかしだな・・・」
エルザはそう言って「コホン」と1つ咳をすると。
「あー、あー、あー」
「あたし達がお芝居する訳じゃないから」
発声練習を始めた。
もちろんチームでの仕事という事でティアもいる。
いや、いる・・・と言うより、無理やり連れてこられたと言う方が正しいだろう。
実は彼女は今日、裁く以外の趣味であるガラス細工に没頭しようと考えていたところだったのだ。
が、そこにエルザがやってきて無理矢理オニバス行きの列車に乗せられた、という訳だ。
もちろん無理やり連れてこられた為・・・
「最悪だわ、何でこんな日に仕事なのかしら。家賃分の金くらい、余裕持って残しておきなさいよね」
とてつもなく不機嫌だが。
しかもその不機嫌の矛先は家賃が払えない状態になったルーシィに向いている。
その為、ルーシィは歩きながら絶対零度の寒気を感じていた。
「あたし達の仕事はあくまで演出。ナツが火出したりあたしがリラの詩で情感出したり。素敵な舞台になりそうじゃない♪小説書いてればいつか舞台化するもんね!うん!今のうちに演出の勉強しとくのも悪くないわ」
「ほぉ」
「舞台化云々より、まずは小説家になる事が先だと思うけど」
ルーシィの言葉に興味なさげにグレイが言い、ティアはいつも以上に素っ気なく言い放った。
「おお!」
「立派なトコだね」
その後、ルーシィ達はかなり立派な劇場の前にいた。
すると、その柱の影からひょこっと小さいおじさんが姿を現す。
この男が今回の依頼主であるシェラザード劇団団長『ラビアン』だ。
「あのぉー、妖精の尻尾の皆さんですかな?引き受けて下さり誠にありがとうございます」
「はい!演出ならあたし達に任せてください!」
ルーシィが元気よくそう言うが、ラビアンは言いにくそうに口を開いた。
「それがですねぇ・・・ちょっと困った事になってしまいまして・・・」
「えーーーーーー!?役者が全員逃げ出したァ!?」
「ハイ・・・ありがとうございます」
「何が!?」
とある部屋にルーシィの叫びが響いた。
カーテンから顔だけ
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