最終話 迎えに来たのは彼女の方ですよ?
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も同時に振り抜かれる黒き刃。
すべてを断ち斬る光輝の濁流。
片や、生あるモノの全否定を行うかのような死の象徴。
有りとあらゆるモノを呑み込む闇と、有りとあらゆるモノを呑み込む光の激突!
一瞬の膠着。いや、この間を『時間』と言う概念で語る事が出来る訳がない。
大地が胎動し、空気が震え、そして、世界が色を失う。
そして――――
そして、その一瞬の膠着の後、完全に闇を呑み込む光輝!
それは、脆くも崩れ去る大地を呑み込み。
有りとあらゆる色彩に染まった狂気の蒼穹を呑み込み。
大量の熱を孕んだ大気を呑み込み。
風を支配する白い少女を呑み込み。
峨眉山清風洞の主を呑み込み。
アラビア半島のハラグ=コーラスの主を呑み込み。
月の宮殿の主人を呑み込んだ。
そして、最後に世界そのものを呑み込んで行く。
死と静寂。瘴気と狂気に満ちたこの世界すべてを……。
☆★☆★☆
……ゆっくりと意識が覚醒して行く。
何故か、とても長い夢を見て居たような、少し身体が疲れているような、そんな奇妙な朝。
但し、気分が優れない訳では有りません。心地良い疲れ。何かをやり遂げた後に包まれる達成感にも似た状態。
その時、起き抜けではっきりしない俺の鼻腔が微かな甘い香りを。そして、とても柔らかな感触を右手が感じた。
……ん、柔らかな感触?
カーテン越しの柔らかな陽の光を目蓋の裏で感じながら、覚醒と同時に感じ続けて居る甘い香りを胸いっぱいに吸い込み、そして、右手を少し強く握り締めて見る。
すると、矢張り感じる柔らかい、そして小さな弾力のある物体。
ちょうど人肌程度の温かさを持つソレは、俺が軽く握り締めると、同じように軽く握り返して来る。
これは、おそらく……。
ゆっくりと重い、未だ微睡んで居たがっている目蓋を無理に開いて行く俺。
先ず瞳に映ったのは見慣れた天井。そう、今年の四月。タバサに因ってこのハルケギニア世界に召喚されてから暮らすようになった、トリステイン魔法学院女子寮の彼女の部屋の天井。
身体に掛けられて居るのは、ハルファスに調達して貰った上質の羽根布団と毛布。
頭の下には、柔らか過ぎない枕。
ここまでは普段通りの朝の目覚めの一コマ。
しかし……。
タバサのベッドから少し離した位置。部屋の隅に敷かれた三枚の畳。その畳の上に更に敷かれて居るのが俺の眠る布団なのですが、今朝はその布団の傍らに俺以外の人物が存在して居た。
「おはよう」
俺が目を開けたのを確認した彼女が、普段通りの抑揚の少ない、彼女ら独特の口調で朝の挨拶を掛けて来る。
これも何時も通りの朝の一
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