最終話 迎えに来たのは彼女の方ですよ?
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った事が有る、……と言う事を強く感じ始めていた。
そして、
何故かその瞬間、紫の髪の毛の少女を顧み僅かに首肯くハク。その様子はまるで以心伝心。いや、もしかすると、ハクと彼女の間で実際に声に出さない会話を交わしたのかも知れない。
ハクが首肯く様子を最後まで確認した紫の髪の少女が、突然、その場に崩れ落ちる。その少女の華奢な身体を後ろからしっかりと抱き留める破壊神の少女シノブ。
その瞬間、ハクから感じる雰囲気が変わった。
それまでは、この場……。この世界を完全に支配していたのは黒き死に神。生命の息吹を感じる事のない死と静寂が支配する滅びの世界で有ったこの地が、ハクの支配する精気に支配された世界へと徐々に塗り替えられて行くかのようであったのだ。
それはつまり、今のハクの霊気は黒き死に神と互角以上と言う事。
一瞬の停滞。僅かに後方を顧みた瞬間、間隙を埋めるかのように放たれる白い風と冷気の刃。
これは当然、タマと白娘子に因る援護攻撃。この攻撃を回避する為、黒き死に神は踏み込み掛けた右脚を、回避の方向へとずらす。
その僅かな隙間に口訣の高速詠唱を行い、導引を結ぶハク。そして振るわれる右腕。
ハクの繊手から放たれた式神符から現れる彼女の分身たち。ここまでが、破壊神の少女シノブの腕の中に、紫の髪の毛の少女が保護されるまでの間に起きた出来事。
その新たに現われ出でたハクの分身……剪紙鬼兵の内の二体が、ハクが刻んで居た円の上に。残りの八体が円の内側へと進む。
包囲陣を敷きながら死に神へと接近しつつ有った剪紙鬼兵の内の二体が、一瞬の内に紙切れへと戻される。
それと同時にハクの額から流れ落ちる紅き液体。
これは返りの風。現われ、黒き死に神を押し止めるべく動いて居る剪紙鬼兵と、それを操るハクとの間に霊的な繋がりが有る以上、剪紙鬼兵が受けた被害はハクが受けなければならない、……と言う魔法のルールに則った現象。
但し、その犠牲は、それに相応しい貴重な時間を作り出して居るのは間違いない。
後方に残った二体が祝詞を唱和し始めた。
これは大祓の祝詞。一切の穢れを浄化し、この円――――
いや、ハクが刻んだのは只の円ではなかった。円周上に打たれた五ヵ所の点を繋ぐ直線。晴明桔梗とも、ドーマンセーマンとも言われる印形。
それに、そもそも、剪紙鬼兵が術を行使出来るはずはない。本来の剪紙鬼兵とは簡単な命令を熟すだけの紙人形。術者の能力にも因りますが、かなりの高位の術者でなければ、その剪紙鬼兵に複雑な術の起動など行えるはずは有りません。
だとすると、あの後方。円周上に配置されたハクそっくりの存在は剪紙鬼兵以外の術。おそらく、剪紙
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