暁 〜小説投稿サイト〜
私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
最終話 迎えに来たのは彼女の方ですよ?
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はハクの方に誤ってダメージを与えて仕舞う可能性が有る以上、弓を構えたまま、手出しをせずに状況の推移を見守るしか方法はない状況。

 しかし……。

 しかし、その彼女の瞳に映る今のハクの動きに対して、微かな違和感を発見する。
 元々弓を引く以上、美月の視力は良い。そして、今は鋭敏に成った感覚が、僅かな霊気の流れすらも漏らす事もなく感じるように成って居たのだ。
 射に備えていた状態から、ハクの動きの観察に重点を移す美月。ハクの意図を完全に理解出来なければ、次の動きに対処出来なく成る可能性すら存在して居ると考えたから。

 最初から変わらない――。死の穢れに晒されていても、流れるような、舞うような彼女の動きは変わらず。
 それはまるで、祭壇に立つ巫女の如き動き。この戦い(悪しき神)に捧げる巫女の舞い。

 しかし……。
 しかし、その中に、先ほどまでの動きとは違う微かな違和感。
 それは……。

「身体が円周上を動き、その頂点の部分に呪を刻んでいる」

 何気ない足運び。払われた刃を、打ち込まれる石突きを躱す際に動く身体が、しなやかに振るわれる腕が、すべて何らかの術を刻む動きと成って居る。
 間違いない、ハクは何らかの術を行使しようとしている。
 そう。ハクの動きは間違いなく円環を刻んでいる。そして、常にその円周の内側に黒き死に神の動きを誘導している。

 但し、例え何らかの術式で黒き死に神を結界内に封じ込められたとしても、其処から先。仮にも神を完全に無力化して仕舞うには、相手の能力があまりにも高すぎる。
 この状態……。黒き死に神が支配する世界では、流石のハクで有ったとしても少しの間だけ足止めを行うのが限界。其処から先。最低でも年単位の封印を施すには、どう考えても準備が不足し過ぎているように美月には思われた。
 まして、常に円の内側に死に神を存在させると言う事は、常に自らの方が大きな動きを行う事となり、必然的に動きに無駄な部分が出て来る可能性も存在して居ると言う事。

 相手の能力が自らよりも劣っている場合なら未だしも、相手は仮にも世界を創造したと言われる元創造神。その身が纏う神力は並の……小神レベルの物ではない。

 その瞬間、今までとは違う微かな違和感。
 それまで感じていた威圧感。この黒き死に神が支配する異世界と化した空間に閉じ込められてから、自らの後方から感じ続けていた破壊神の少女シノブが発する物とは明らかに違う気配。
 そして、それと同時に後方から淡い……虹の如き七色の光が発生し、美月の足元前方に新しい影を作り出す。

 そう言えばこんな伝承も存在して居ましたか。虹の向こうには逢いたい()の人が待っている、と言う伝承が……。

「あんたは……」

 その光を美月が感じた瞬間
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