第一部
第二章 呪印という花を君に捧ぐ。
大蛇丸
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かみ出されていくのを看ることも出来たはずだ。
「そこまでするなんて、見苦しいわよ笑尾喇――犬神はもっと崇高であるはずの存在ではないのかしら?」
大蛇丸が浮かべた笑みに、犬神の叫びが更に怒気を帯びたものになる。
〈黙れ! 黙れ! お前だ。お前が我をつくったのだ! 目の前に食べ物を置いておいて、我を柱に縛り付けて、そして餓死するなり我が首を切り飛ばしよった! そして我は、お前への怨念で生まれた! お前の頭を砕いてやる、首を折ってやる、目を抉って手足をもいで、内臓を喰らいつくしてやる。殺してやる殺してやる殺してやる!!〉
笑尾喇を生んだのが大蛇丸。その事実にマナもはじめも目を見開いた。大蛇丸といえば里のSランク犯罪者だ。その上笑尾喇を柱に縛って、目の前に食べ物を置いて、餓死するなり首を切るだなんてそんなむごいことをしただなんて。それは笑尾喇みたいな犬神が生まれるわけだ。
「ひっでえ……っ!」
マナが顔を引き攣らせる。そのような死に方はマナにとって死刑以上の拷問だ。そんな死に方したらマナは確実に幽霊どころか悪霊になって嫌がらせをしまくるだろう。というかそんな死に方死んでも死に切れない。とりあえずマナなら首を切られても確実に首だけは食べ物へぽーんしそうな死に方だ。
「ふふ……精々喚いているがいいわ」
めきめきとユヅルの体が嫌な音を立てる。だめ、とサクラが叫んで、無理矢理ユヅルを木の枝に押し倒すなり、服を捲り上げて封印式に視線をやった。犬神は言霊の鎖に縛られながら尚も外へ出ようともがいている。
「サクラ、危ない! 離れろ!」
サスケが叫んだが、サクラは聞いていなかった。
「この術式、看たことがあるわ! 確か術の解き方はこうだったはず――!」
サクラが慎重にチャクラを込めて、封印式に手を当てる。逆封印と呼ばれる解き方だ。封印式をかける手順を後ろからやっていけばこの術は解ける、はずだった。
「サクラ、やめろ!」
サスケがサクラを抱えてユヅルの傍から去る。ユヅルの封印は解かれなかったものの、しかしサクラのお陰かはたまたその所為か、術は緩くなったらしい。言霊の鎖を断ち切り、笑尾喇が更に出てこようとしていた。
〈ありがとよ、小娘――いつか礼を言おう〉
笑尾喇が笑って、出てこようとする。しかしその前に、ろくろ首のように首を伸ばした大蛇丸が、ぐさりとその歯をユヅルの首の付け根にあてていた。
「見苦しいわね――まあ、そこまでするのなら。貴方をまた違った方法で封印してあげるわ」
ゆっくりと三つの勾玉が浮ぶ。そして大蛇丸は更にサスケの元へ首を伸ばすなり、同じ場所に噛み付いた。
「――ユヅル!」
「サスケくん!!」
安心してねと、大蛇丸はちっとも人を安
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