フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十六話 氷の世界のいざこざ
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しれない。だが、バルコニーに飛び移ってしまえば頭上に見えるヨツンヘイムの出口につながっていると思しき階段にはたどり着けなくなる可能性が高い。キリトとリーファがどっちにするか迷っている。しかし、二人がバルコニーに乗り移ることはなかった。
「・・・また来よ。仲間いっぱい連れて」
「そうだな。多分このダンジョン、ヨツンヘイムでも最高難度なのは違いないしな。俺たち三人だけじゃ突破できないよな・・・」
「おい、なんでおれまで数に入れてんだよ」
ちゃっかりとソレイユをダンジョンメンバーに加えているキリト。それに対して抗議の声を上げるソレイユ。そうしている間にもトンキーは呆気なくバルコニーを過ぎていく。未練がましく氷のダンジョンを覗いているリーファとキリト。二人とは対照に上を見上げるソレイユの瞳には天蓋から垂れ下がる階段付きの根っこが見えてきた。
「あれが出口か・・・」
ようやくか、とソレイユが呟くとトンキーがひゅるるぅと声を上げ、スピードを落としていく。ふわふわと漂うように滑空し階段付きの根っこのもとまで行くと触手の様な足を根っこの先に巻きつけ停止した。トンキーが掴んだことによって軽く揺れる木の階段にソレイユは躊躇なく飛び移る。次いでキリトとリーファも階段の一番下の段に乗り移る。背中に誰もいないことを確認するようにトンキーは身をゆすると、サヨナラの握手をするように長い鼻をリーファ達に伸ばしてきた。
「・・・また来るからね、トンキー。それまで元気でね。もう他の邪神に苛められたらだめだよ」
「またいっぱいお話ししましょうね、トンキーさん」
キリトとソレイユは無言で鼻を握り、リーファとユイは囁きかけながら鼻を握る。全員がトンキーと握手し終えると、トンキーは翼を折りたたみものすごい速度で下降していく。
「さ、行こ!多分、この上はもうあるんだよ!」
目尻に滲みかけた涙を拭うと元気な声を上げるリーファ。その声にキリトは大きく欠伸をしながら応じる。
「よし、最後のひとっ走りと行くか・・・あのなリーファ、上に戻っても、聖剣のことはナイショにしとこうぜ」
「・・・なんでそれを今言うんだか・・・」
締まらないことをいうキリトにソレイユは呆れるしかなかった。
その後、光きのこでぼんやりと照らされたやたらと長い通路を歩いていくとアルヴヘイム・オンライン最大の都市≪アルン≫へと到着した。色々な種族が交わる街に感動していたリーファとキリトだったが、午前四時から始まるメンテナンスのアナウンスが流れたため宿をとった。
「ああ、キリト。俺、明日はメンテナンスが終わったあと少し遅れてログインすると思うから、先に言ってていいぜ」
「何か用事があんのか?」
「ああ」
「そうか、悪いけどそうするよ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ