フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第六十六話 氷の世界のいざこざ
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目をやると、高くきつりつした光の螺旋がゆっくりと回転しながら解けていく。中から姿を現したのは、真っ白い輝きを帯びた四対八枚の翼を持ち、丸かった胴体が細長い流線型に変化し、その腹から二十本もの植物的な蔓をはやしているトンキーと思われる邪神だった。
「・・・トンキー・・・・・・」
進化?したトンキーの姿を見たリーファが呟く。その声が聞こえてか、トンキーはひゅるるるるぅと長い鼻を掲げながら声を放つと、高度十メートルほどまで垂直に舞い上がり、前触れなく今までの色合いと違う青い輝きを放ち始めた。
「あっ・・・やばっ・・・」
それを見たキリトはリーファを抱え込みながら雪の上に伏せる。その直後、トンキーの肢すべてから恐ろしい太さの稲妻が次々に地上へ降り注ぐ。重装備のウンディーネたちは耐えたようだが、メイジや弓使いたちは一撃でポリゴン片となってしまった。
「ほぉ・・・」
効果範囲外にいるソレイユは感嘆の息を漏らす中、ウンディーネのスカウトの部隊長の叫び声が響きわたる。
「丘下まで後退!密集陣形で回復及び再支援!」
生き残ったウンディーネたちは部隊長の指示通りに一斉に坂を駆け下がっていくと重装備のプレイヤーが壁を作り、その後ろでメイジが詠唱を開始する。それを見ていたソレイユは心の中で呆れた。
「(おいおい、そんなことすると・・・)」
魔法詠唱が開始されたのを察知したトンキーは、今度は羽から純白の光芒に満たされ、くあぁっ!という音と共にすべての魔法を無力化する光の環が降り注ぐ。
「(あらら・・・)」
トンキーの範囲解呪能力によって呪文が空しく煙となって消えていく。
「くそっ!」
悪態をつきながら小型の弓を引き絞ると、真上に向かって連射する。黒い煙を引きながら連射された矢が空をはしると、煙幕が立ちこめウンディーネたちの姿を隠す。
「撤退、撤退!!」
その声と共にウンディーネたちは一直線に走り去っていく。だが、トンキーはウンディーネたちを追撃することはなく勝利の雄叫びをあげるだけにとどまり、キリトたちの方へと方向を変えわさわさと飛んでくると、頭の上で止まり六個の目玉で見下ろしてくる。
「・・・それで、どうすんだ?」
キリトのその質問に答えるものはいなかったが、代わりにトンキーが長い鼻でキリト、リーファ、ソレイユを巻き取ると背中に放り出す。
「・・・デジャブを感じる」
「それはさておき・・・生きててよかったね、トンキー」
キリトのつぶやきをスルーしたリーファがそう呟くと、キリトの胸ポケットからユイが出てきた。
「ほんとよかったです!生きてればいいことあります!」
「だといいけどな・・・」
ユイの言葉にキリトが唸る。そんなやりとりを無視しつつソ
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