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もしもこんなチート能力を手に入れたら・・・多分後悔するんじゃね?
12番目のサイコドライバー
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く息を乱さずノンストップで突き抜け(ついでに階層と壁もいつくか突き抜け)た俺達は既にプレシアの残滓の目の前まで来ていた。
不意に、さっきから黙り込んでいたプレシアが口を開く。

「ねえ、この先は私一人で行かせてもらえないかしら?」

「・・・母さん?」
「貴方達は先に海鳴市にいって状況を収拾しなさい。ここから先は私一人で片を付けるわ」
「ちょっと!?突然どうしたんだい!?」

そう宣言したプレシアは大きく一歩前へ出る。戸惑いを隠せないフェイトとアルフ。しかしその二人をリニスが両手を広げて押し止めた。俺も二人の肩を掴んで前へ進むのと止めた。

プレシアは”殺された未来”の自分について、いろいろと考えることがあるんだろう。和解もせず、あらゆるものを切り捨てた挙句にその命を散らした哀れなプレシア。自分がひょっとして至っていたかもしれない未来なのだ。
関係ないと目を逸らすのは簡単だが、受け止めずにはいられないのだろう。愛深きゆえに。

「自分の起こしたことは自分で、か?」
「いいえ・・・でも、原作では私にフェイトの言葉は届かなかったんでしょ?なら―――私を救ってやれるのは私しかいないんじゃないかしら?」
「・・・分かんないよお母さん!どうして一人で行こうとするの!?」
「そうねぇ・・・言葉にまとめるのは難しいわ。感覚的なものだし・・・でも、この先にいる私はきっとアリシアに会えなかったことだけを苦にずっと存在していたんだと思うの」

アリシア。フェイトではなく本物の娘、愛しのアリシア。それに会うために悪霊とも知れない存在に成り果てた。あのまま未来が進んでいれば会えたかもしれないのに、というありもしない可能性を未だに捨てきれないのだ。
その気持ちは分かる。自分だってそうなっていたかもしれないという未来は容易に想像できた。しかしそれは常に”無駄だろう”という恐ろしい現実から永遠に逃げ続けなければならないという終わりのない苦行を意味している。冷めない悪夢を終らせてあげられるのは、今を生きる人しかいない。

「だから私本人が教えてあげなきゃいけないの。その現実って奴を。だからフェイト・・・貴方は貴方の残滓に会いなさい。そして、あったかもしれない私の子供と自分自身を救ってあげなさい。終わりの無い苦しみから・・・」
「私自身を、救う・・・?」

そっとフェイトの顔を包むように持ち上げたプレシアはいつものように優しい母親の顔をしていた。そこで彼女は気付く。
そうか―――フェイトの残滓もまた彼女にとっての娘であることに変わりはない。それを救うのが本人出なくともできるならば、プレシアは一刻も早く自分の娘を地獄のような逃避から救いに向かうはずである。

「そうよ。街にいるあなたの残滓は、私の残滓と同じく永遠にたどり着けない一方通行の
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