夏休み
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な不良には寛大で、不良達からも好かれている。
特に悠璃の父親は昔かなりのワルだったらしく、「自分の若い頃を見ているようで懐かしい」などと響に話したことがある。
「響さん、いつまでこっちにいるんスか?」
バイクから降りた悠璃がくるりと踵を返し響を見つめる。
「そうだな……少なくとも八月の終わりぐらいまではいると思うぜ?」
「じゃあ、遊びに行ったりしても!?」
悠璃は若干鼻息を荒くしながら響に詰め寄る。それに苦笑しつつ、響は小さく頷く。
「ああ、好きにしろ。じゃあまたな、さっさと寝ろよ」
「ウッス! おつかれっした!!」
腰を直角に曲げ、悠璃は響を見送った。
悠璃を送った後、軽い夜食や飲み物を買うためコンビニに寄った響は十時ごろに家に到着した。
「いって……口ん中切れてるっぽいな。こりゃ明日まで残るな」
自身の傷の具合に肩すくめながら響は玄関の扉に手をかける。
「アレ? 響?」
「あん? ……げっ」
ふとかけられた声に振り向くと、そこにいたのは一人の少年だった。
耳にかかるかかからないかの黒髪に端整な顔立ち、身長も高い所謂イケメンがそこにはいた。運動中だったのか服装はジャージ姿だった。
少年は少し嬉しそうに響に笑顔を見せている。
だが、対する響はというと鬱陶しそうに顔をしかめている。
「帰ってるなら言ってくれればよかったのに」
「うるせぇ黙れ殺すぞ。誰がテメェなんぞに連絡するかボケ」
「あ、またそういう言葉遣いを……。まったく、ダメだよ響。君だって女の子なんだからもっとお淑やかに」
「あーあーあー! きーこーえーなーいー!!」
少年の忠告を響は子供のように耳をふさぎながら声を上げる。それにため息をつきながらも少年は苦笑する。
「なに笑ってんだ。つーかテメェはこんな時間になにやってんだよ?」
「ん? 見てのとおりのジョギングだけど?」
「はっ! 相変わらずの体力馬鹿だなお前は」
「響だって似たようなもんだと思うけどね」
「ああん? 誰が体力馬鹿だソウシ?」
響の凄みのある睨みにソウシと呼ばれた少年は苦笑いを浮かべる。
この少年は響の幼馴染であり、おそらく最初の友達、葵奏嗣である。実家は剣術道場を開いていて、奏嗣自身かなりの腕前だとのことだ。
因みに、以前響が言っていた『アイツ』とは奏嗣のことである。
「そう怒らないでって、でも本当に久々だよ君とこうやって話すの」
「私は別に話したくなかったけどな」
「もう……っともうこんな時間か。呼び止めちゃってゴメンね響。また来るよ」
奏嗣はそれだけ言い残し
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