夏休み
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響が振り返るといつものスーツに身を包んだ千冬が腰に手を当てながらたたずんでいた。
「織斑先生。ちょうどいいところに、格納庫の鍵開けてくれませんかね?」
「格納庫? ……ああ、あれか。待っていろ」
千冬は職員室に入ると、中にある金庫からIDカードのようなものを取り出し戻ってきた。
「待たせたな。では行くとするか」
「どーも」
二人は並びながら外にある第六格納庫に歩き出す。
道中、千冬が響きに問うた。
「時に鳴雨。お前のISはあの後から大きな変化はないか?」
「そうっすね。特に故障したり、ブースターが止まったりすることはないです。でも――」
「でも、なんだ?」
響が口元に手を当てながら眉間に皺を寄せると、小さく息をつきながら千冬に告げた。
「――なんつーか前よりも夜天月との一体感が増した感じがするんですよねー」
「ふむ……具体的にはどんな感じだ?」
「いや、前も結構一体感はあったんですけど、超薄い膜みたいなので少しだけ邪魔されてるような感じがあったんですよ。でもあの事件の後からその膜みたいなのがなくなったって言うか……」
「膜……か……。それ以外に体への不調のようなものはないか?」
「体はもう全快っすね。てかどうしたんですか織斑先生? さっきから私の心配ばかり」
響は素直に疑問を思ったことを口にする。
なにせ普段はアレだけ生徒に対して厳しい千冬なのだが、今日ばかりは異様に響の心配をするので気味が悪くてしょうがなかったのだ。
「私とて鬼ではない。自分の生徒がアレだけの大怪我を負ったのだ、心配して悪いか?」
「いーえ。でもなんかいつもと違ったんで気になっただけっすよ」
「そうか」
千冬は小さく笑いながら返す。
その後も二人は他愛のない話をしながら、格納庫に向かっていった。
IS学園の一角。第六格納庫。
ここは基本的に生徒の私物などを一時的に預かる言わば倉庫のようなものである。例えば、宅配便で送られた荷物などは、一度ここに入れられ異常がないかなど、検査が通される。
他にも生徒の部屋に入らないほど大きなものなども収容されている。
「さて、鳴雨。少し下がっていろ」
「うっす」
千冬は響に促すと、巨大な扉の横に設置されているセキュリティ装置にカードを通すと、暗証番号のようなものを打ち、手をかざす。
すると、目の前の巨大な扉が重厚な音を立てながらゆっくりと開く。
外は灼熱だというのに、中はそれなりにすごしやすい温度のようで、扉が開くと共に多少冷気を孕んだ空気が響達の肌を撫でる。
千冬が先に入ると、真っ暗だった格納庫に光が灯される。響もそれに続き
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