夏休み
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八月。
灼熱の太陽がじりじりと照りつけるこの季節。IS学園は普通の高校と違いちょっと遅めの夏休みに入る。
海外からの生徒が多いため、現在IS学園に生徒はあまり残っていない。
「うっし。荷物は全部まとまったな」
寮の一室、響と本音の部屋では響が荷物をまとめ終わり、それを肩に担ぐ。
「あーあー、ひーちゃんがいなくなっちゃうんじゃつまんないなー」
「つまんねーって言ってる割には漫画読んでゲラゲラ笑ってるじゃねーか」
「ばれたかー」
ベッドの上でゴロゴロしている本音を見ながら響は苦笑しながら軽くため息をつく。
響はそのままドアノブに手をかけると、
「じゃあ本音。あんまゴロゴロしすぎんなよー」
「はいはーい。またねーひーちゃん、お土産よろしくー」
ベッドの端から顔だけ突き出しながら本音は響を見送った。それに軽く手を振りながら響は部屋をあとにした。
「響ちゃんのお胸ゲットー!」
「フン!!」
職員室に行くため校内の廊下を歩いていた響の胸を掴もうとした楯無に響が強烈な裏拳を放つ。しかし、楯無はそれを軽く後ろに飛び退きながら避ける。
「危ないじゃない響ちゃん!」
「なーにが危ないだボケ。軽々と避けやがって、それに人様の胸揉もうとしたんだから殴られろ」
「いーじゃない減るもんじゃなしー。――そ・れ・と・も……響ちゃんは私のおっぱい触りたいのかしら?」
「……」
楯無の言葉に響は無言で左手をゴキゴキと鳴らす。
「あー! ごめんごめん! 冗談よー」
さすがに響のアイアンクローは喰らいたくないのか、楯無は多少焦った声を漏らしながら首を横に振る。
静かに左手を降ろしながら響は楯無に問う。
「ハァ……そんでなんの用だ、楯無」
「ん? あ、そうそう。前にも言ったけど夏休み中でも生徒会はあるから。でも響ちゃんは帰省しちゃうみたいだから……はい」
楯無は懐から一つの端末を渡す。それは黒の板状の端末で、カメラのレンズのようなものが付いている。
「これは?」
「自宅にいても生徒会会議ができるようになってる立体映像投影装置。電源を入れて前にいるだけで生徒会の様子が確認できるから。勿論音声も出るようになってるから安心してねー」
「ふーん。それで時間は?」
「いつもと同じ。水曜日の四時半ぐらいからよ」
「りょーかい。じゃあ私はそろそろ行くぜ?」
「うん。じゃあまた夏休みの終わりにね。ぐれちゃダメよ?」
楯無の忠告のような意見に響は振り返りながら手を振ると、職員室に向かって歩き始めた。
職員室のドアに手をかけようと響が手を延ばした瞬間。
「鳴雨」
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