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戦国異伝
第百四十三話 一乗谷攻めその十四

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「だからな」
「武田はそのままですか」
「手は打ちませぬか」
「うむ、しかし武田信玄もまた我等の敵」
 信長と同じく彼もまた、というのだ。
「天下に秩序をもたらそうと考えておるからな」
「それは上杉や北条もですな」
「そして毛利や伊達も」
「色のある家はな」
 そうした家は全てだというのだ。
「我等の敵故」
「やがては全ての家をですな」
「潰しますか」
「まずは浅井よ」 
 その中から、というのだ。
「あの家じゃ、そしてじゃ」
「織田も武田もですな」
「そしてあの寺も」
「本願寺もな」
 当然というのだった。
「潰すとしようぞ」
「あの寺もですな」
「潰しますか」
「顕如は光の側におる」
 本願寺の法主である彼のことが忌々しげな口調で語られた、彼等とは何もかもが違うというのである。そう言うのだ。
「それならばな」
「あの者もですか」
「そして本願寺も」
「そうじゃ、そもそも本願寺は親鸞からじゃったが」
「あの者には随分やられましたな」
「それもかなり」
 周りの者もそのことを思い出して忌々しげに言いだした。
「何度もやられました」
「あの頃は高僧が多かったですな」
 鎌倉期のことだった、その話は。
「道元や栄西もでしたし」
「その親鸞もでした」
「法然と日蓮といい」
「一遍もおりましたな」
「延暦寺や金剛峯寺も今よりも遥かに強かったです」
「実に厄介でした」 
 鎌倉の頃は彼等が強かったというのだ。
「その親鸞が我等を退けながら開いたのがあの本願寺」
「そして一向宗でしたな」
「ならばあの寺もですな」
「必ず」
「そうじゃ、潰しておく」
 例え何があろうともというのだ。
「人はもう潜ませてあるな」
「はい、既に」
「それは」
「それがしをはじめとして」
 ここで一人が言って来た。
「そうしております」
「では善住坊よ」
 老人の声は彼のその声に告げた、その言葉を受けて。
「御主は浅井の後はじゃ」
「延暦寺をですな」
「操れ」
 そうせよというのだ。
「そして今度は本願寺と共にあの寺を使ってじゃ」
「織田信長に仕掛けますか」
「出来れば金剛峯寺もじゃが」
 延暦寺と並ぶ密教の本山だ、延暦寺が最澄ならば金剛峯寺は空海だ。どちらも相当なはじまりでありそしてだった。
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