第九話 〜アスナが地球へ行くお話 前編【暁 Ver】
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い人間って思われてるのが、我慢ならないのよ」
我ながら呆れた暴論だと思うが、この娘はこれくらいじゃないと人に頼らないのだ。
「……ありがとう」
そう言ってアスナは──── 滅多に見ることが出来ない顔で微笑んだ。
「八神部隊長。ただいま戻りました」
「ん、お疲れ様。アスナちゃんは」
あたしが指さした方向へ八神部隊長が視線を向ける。アスナは、湖畔に建つコテージの陰に隠れるようにして、こちらをじっと見ていた。
「怒ってないで? ちょうお説教はするけどな」
「……シグナムは?」
シグナム副隊長からあまりにも多くお説教を受けた所為で、完全に苦手意識が芽生えてしまったらしい。自業自得だけど。幸いにもシグナム副隊長は手の空いている人間と一緒に、サーチャーの設置に行っているようだった。
「いつまでもそないなとこにおらんと。すっかりシグナムが苦手になってもうたなぁ。あぁ見えて地味に凹んどるんやで?」
怖ず怖ずと出てきたアスナは、そのままスバルの背中へと隠れてしまった。悪いことをした自覚はあるらしい。
「はやてから話を聞いたときは、どんなやんちゃな子かと思ったけど……何この小動物みたいなの」
「アリサちゃん、失礼だよ」
フェイトさんと同じ髪の色をした快活そうな女性と、藤色の髪をストレートにしている芯の強そうな女性に声を掛けられた。恐らく、八神部隊長が言っていた民間協力者だろう。
「三人とも紹介するな? こっちでの民間協力者や。私となのはちゃん、そしてフェイトちゃんの幼なじみでもある。この子がティアナ・ランスター、青い髪の子が、スバル・ナカジマ。んで、スバルの背中にひっついとるのが、さっき話しとった桐生アスナちゃんや」
「アリサ・バニングスよ。宜しく」
「月村すずかです」
「……おなかいたい」
「アスナは人見知りにも程があるよ。痛い、痛い。あたしの背中を掴みすぎ。宜しくお願いします」
スバルには悪いが、もう少し我慢して貰おう。それよりも先にやることがある。
「はい、宜しくお願い致します。……八神部隊長。少々お時間を頂きたいのですが、宜しいでしょうか?」
「かまへんけど……」
あたしの視線を合図にスバルがアスナを八神部隊長の前に連れ出した。海を思わせる紺青と、草原のような翠が八神部隊長を見つめる。アスナは少し迷ってる樣子だったが、やがてこう切り出した。
「……まほうで」
「うん」
「……まほうで雪をふらせる方法を教えてほしい」
「雪、やて?」
こうして。あたし達にとって『力』であり、『手段』であり、『武器』でしかない魔法を使った今回の派遣任務とは関係ない『重要任務』が始まったのだ
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