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銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
アレスの卒業
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た。
 代わりに真っ直ぐに向いた視線が、アレスを見る。
 真剣な目だった。

「これが貴様と私の差だ、アレス・マクワイルド。そして、これからも」
 はっきりとした断言とともに、アレスに指を突きつけた。
 それは見下すような言葉。
 ライナも、スーン達も、誰もが聞けば不愉快に感じたであろう言葉。

 しかし、アレスだけにはそうは聞こえなかった。
 子供のような、必死の叫び。
 痩せ我慢をして、他ならぬ自分に言い聞かせている。
 原作で子供のようだと評された彼を思い出せば、決して笑うことも怒ることもできない。彼の真剣な言葉に、対してアレスは笑いを消して、向きあった。

 彼の真剣な言葉に対して。
「ああ。そうだな、次は負けない」
「皮肉だな、アレス・マクワイルド。だが、聞いておこう――君に勝ち目はないだろうが」
 アレスとフォークの視線の交わりは一瞬。

 すぐにフォークが踵を返せば、歩みを始める。
 歩きだす背をみれば、やがてライナが口を開いた。
「端的に申し上げます。私はあの方は好きません」
「俺も好きではないな」

 正直なライナの言葉に、アレスは微笑で答えた。

 + + +

 結局、答えは聞けなかった。
 チャンスを逃せば、もう一度話しを振ることも出来ずに、しばらく世間話をして、ライナはアレスと別れる事になった。

 残念だと、小さく息を吐けば静かに振り返る。
 そこに見つけたクラスメイトの姿に、ライナは眉をひそめる。
「なぜ楽しそうなのです、グリーンヒル候補生?」
「ふふ。フェアラートさんの珍しいところをみれたなって」
「それはよう御座いました」
 歩くライナを追いかけるように、フレデリカは隣に並んで歩く。

「いい式だったね。私も頑張らなくちゃ。フェアラートさんに負けないくらい」
「それは無理でしょう」
「どうして?」
「今まで私は頑張ると言う必要を感じませんでした」

 ライナは呟いて、隣に立つフレデリカを見下ろした。
 冷たい視線が、追いかけるようにいなくなった場所へと向かう。
「しかし、私は隣に立って恥じないように、頑張りたいと、そう思っています」
「それは、私も同じだよ」
 ゆっくりと首を振りながら、フレデリカも視線を遠くへと向ける。

 エルファシルの英雄といわれ、いまだに戦場に立つ人を思い。
「今回の――戦術シミュレート大会で私は自分の実力に気づかされた。だから、頑張りたいとそう思えたから。負けないわ」
「お互いに道は険しそうですね」

「ええ。でも、だからこそやり甲斐があると思うの」
「前向きですね。ですが……嫌いではありません。グリーンヒル候補生。私の事は、これからライナと呼んでください」
 そんな言葉に、フレデリカは目を
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