第1話 可愛くない子が旅をするまで
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だ。
痛みは殆ど無い。右腕の上に全身で倒れ込んでしまったが、落差があまりなかったからか、大したことではなさそうだ。
務都弥はゆっくりと立ち上がった。草を踏んだような音がする。
(どこだ……?)
務都弥は辺りを見回した。
見覚えの無い光景だ。目の前には3階建ての建物。レンガでできているのだろうか。
「なぁにもぅこれぇ」
後ろの方から、鈴瞳の声がする。埒路もいるのだろうか。
務都弥は建物をぐるりと見回した。
建物は3階建て。務都弥達がいる所を中心に円形に建てられている。建物内の廊下のような道は柵が設けられていてこちらの様子を見ることが出来そうだ。
「キャアァァァァアァアアァ!!」
務都弥が周囲を見回っている間に、鈴瞳の悲鳴が聞こえた。
「あーもうなんだよ……」
動かなかったらどうせあっちから呼びに来るだろうと思い、務都弥は渋々声のする方向へ早歩きで向かった。
「!?」
少し歩くと、務都弥は駆け寄った。
埒路が倒れていた。顔も青白い。
「むっくーん、むっくーん、」
鈴瞳の声がしたがどう考えても背後からしている。おそらく務津海と同じ周り方をしたのだろう。
「大丈夫か?」
務都弥は気にせずに、埒路に問いかけた。
埒路はふるふると首を横に振った。
「首振る元気があるなら大丈夫だ。それで、どうし……」
「むっくーん!おーい!いないのかバカ務津……!あ」
鈴瞳も合流した。
務都弥は鈴瞳の方を振り返り
「……馬鹿はお前だ」
一言言うと、埒路の方に向き直った。
「……で、どうしたんだ?」
「そうなんだよらっ君が大変なことになってるんだよ!」
鈴瞳は埒路の元に駆け寄った。
「…」
埒路はうっすらと目を開けて、顔をこちらに向けた。
「らっ君大丈夫!?どうしたの!?何でも言ってごらん!」
「ジェットコースター……苦手」
埒路はそれだけ言うと、首をカクッと倒して目を閉じた。
「らっくぅううぅうぅうん!!」
鈴瞳は天に向かって絶叫した。
(ここに来る時のアレか……)
務都弥は合点がいった。
「死ぬなぁぁぁあぁあ!!」
鈴瞳は埒路の体を激しく揺さぶった。
「あんま揺するな。乗り物酔いもしてるかもしれない」
務都弥は静かに言った。聞こえてないかもしれない。
「ウォォォォオオォオォオォオ!!」
「いい加減黙れ」
ドスッ
「ゴホッ!」
務都弥は天に向かって吠えている為むき出しになった鈴瞳の喉に手刀を食らわせた。
務都弥はゴホゴホと咳き込んでいる鈴瞳を無視して観察を続けようとした。
ザッ
しかしそれは無理なようだ。一瞬にして、廊下という廊下に人が現れた。
「$%”#!」
辺りから一斉に銃を突きつけられる。
「ひぇっ!」
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