第1話 可愛くない子が旅をするまで
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「え、どんな感じ?」
「……」
埒路はシリアルを掬って鈴瞳の口に持っていった。
「あーん」
「あーん」
鈴瞳はシリアルを口に入れた途端、目を見開いた。
「何これうわっ!」
鈴瞳の叫びに埒路はコクンと頷くとシリアルを口に運んだ。
「うひゃあぁ、これってさ、袋で買ったんだよね?」
鈴瞳は渋い顔をした。そしてシリアルの袋をつまむ。
「うわどうすんの?」
「食べる」
埒路はそう言うとシリアルを口に運んだ。
「ひゃあー」
鈴瞳が口に手を当てた位の時だった。
鈴瞳の周囲を回っていた石のようなものが軌道を逸れて大きく回りだした。
「あ、」
それは鈴瞳、務都弥、埒路の周囲をグルグルと回りだした。
「何これ?虫じゃないの?」
「知らん」
「……」
それは新しい軌道を加速しながら回っていく。
「なんか速いよ。……ハエじゃないの?」
「……」
務都弥は黙った。
「……ハエ?」
埒路は聞き返した。
「うわぁぁぁぁああぁあ!」
鈴瞳は顔をブンブン振った。
「酷い!酷いよ2人共!グレるよ!グレるよーっ!」
(好きにしろ)
務都弥は無視して上の階に行こうとした。この家は2階建てである。
バチッ
務都弥の体が石のようなものに当たった。務都弥は少し痛みを感じた。
その瞬間、石のようなものが光りだした。
「ちょちょちょちょむっ君、何したの!?」
「知らん」
光はどんどん強くなっていく。その内務都弥は目を開けられなくなり、光が弱まっていき、目を開けられるようになると……
務都弥は下に重力のようなものを感じた。辺りは真っ暗で何も見えない。
少なくともここは家ではない。先程まで日中だったし、家の中でこんな落下するようなものはない。務都弥は深呼吸をした。
「え、何?」
鈴瞳の戸惑った声がする。他の人も同じ目に遭っているのだろうか。
「家は?家は?」
「落ち着け!」
務都弥は、取り敢えずここにいることを示す為に声を出した。
「むっ君、いるの?」
「いる」
「あ、じゃあ、らっ君は?らっくーん!」
「どうしたの?」
「あ、いた!」
3人共いるようだ。務都弥はそれを知ると状況の整理を始めた。
とはいえ、情報が圧倒的に足りない。あの石のようなものが関係していることはほぼ確実だが、それから先が掴めない。
務都弥が渋い気分でいると、下に光が見え始めた。まるで光の線が下から上に上っているかのようだ。
そしてどんどん光の線の数が増えていき、次第にそれで辺りが覆われていく。
強い光が下から起こる。務津海は一瞬目を閉じた。
光が止んで、務都弥は目を開けた。
石、水。
務都弥はトランポリンのようなものに柔らかく押し返され、芝生に倒れ込ん
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