XI
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気になると言いつつゆかりを焚き付けるような真似をしなくてもよかったはず。
「切れる札を切らずに後手に回って無様晒す。それは裏瀬さんも同じだが……
この件に関しちゃ俺の手抜かりだ。キツク言い聞かせてればそれで終わってたんだしな。
軽く脅しつける程度で済ませずに身体に教え込まなきゃ馬鹿は覚えないってのによぉ……情けねえ」
山岸さんのイジメを止めたのは裏瀬くんで、この人に命じたのだろう。
で、それを二人共負い目として感じている。
裏瀬くんもバーテンさんも自分の甘さを恥じているのだ。
だからこんなにも苦い顔をしている。
「家の力に頼りたくない? まあ、そう言う気持ちも分からんでもないよ。あの人だってそこらは分かってる」
けど、今の状態でのこのこ顔を出せば――と言うことだろう。
「まあ所詮は結果論って言えばそこまでだが、人間は理屈じゃない。分かるだろ?」
「……ああ」
「正直、今のキレてるあの人に近付いて身の安全を保障出来るかは分からんのよ」
裏瀬くんやバーテンさんが責任を感じているように、桐条先輩も負い目を自覚したようだ。
誰も彼も、責任感が強すぎる。
非の在り処を自分だと思ってしまう、美徳とも言えるが……正直生き辛いとも思う。
「だが、それならば尚更私も退けん。悪罵であろうと何だろうと喜んで受けよう。だから――――」
「ああもう頑固だなアンタ! マジ勘弁してくれよぉ……」
中間管理職の悲哀と言うべきかな? 何とも哀愁を感じてしまう。
だから私も助け舟を出そう。
「バーテンさん――――私達、絶対役に立ちます。裏瀬くんに利益を齎します」
「…………嫌な言い方だなぁ」
此方を気遣いつつの辛い言葉を吐いたりもするけど、あくまでバーテンさんは裏瀬くんのために動いてる。
不利益にしかならないと分かっているからここを通そうとしない。
けど、役に立つと言われたら……示せる根拠なんてなくて、信じてもらうしかないのだけど……
「必要とあらば桐条の力も使おう。それならばどうだ?」
桐条先輩は頭が回る。
だからこそ有効な札を切って見せた。
さっきバーテンさんはこう言ったのだ。
マンパワーも金も桐条とは段違いだ、と。
ならば桐条先輩の言葉は、否定出来る要素がない。
「はぁ……OK、分かった分かった。俺の負けだよ」
「すまない、ありがとう」
「待て。その前に二つ忠告だ」
「忠告?」
「奥へ行くんなら――――ショッキングな光景が広がってると思ってくれ」
ショッキングな光景……桐条先輩と真田先輩はピンと来てないようだが私達は別だ。
土曜の夜、私やゆかりは裏瀬くんの暴力を目にした。
確たる理由を以って効率的に凄惨な光景を彼は作
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