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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
反董卓の章
第8話 「…………ここまでアホだったとは」
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……ちなみにご主人様の想定って?」
「ん? そうだな……北と南の関、できれば西もだが、陽動部隊を配置させる。陽動にはあまりやる気のない……鮑信ら諸侯に偽兵の計で布陣させる。そうすれば対抗するために兵力を分散させるだろうから、突破する本命の関の防備は弱くなる。あとは……そうだな、総大将たる袁紹は最も弱い場所である南に布陣して、本命は最も困難な東の虎牢関を落とす。ってぐらいのことは、やってくれるんじゃないかと……思っていたんだがなぁ」
「最初から虎牢関を抜くつもりだったのですか!?」
「そうだよ、愛紗。虎牢関の噂は俺も聞いた。難攻不落絶対無敵七転八倒虎牢関……だっけ?」
「はい。旧来より、洛陽を守る関としては最も堅固だと言われています」
「そう。だからこそ、そこに付け入る隙ができる……はずだったんだけどね」

 だからこそ、連合集合場所は宛なのだと思っていた。
 なのに許昌に変更になり、あまつさえこの指示書……

 どう考えても『馬鹿』としか言えない。

「なんで最も堅固な関の前に布陣するかな……これじゃあ、相手も虎牢関周辺に人数集めるに決まっているじゃないか」
「まったくです……豎子、ともに謀るに足らず。項羽の軍師であった范増の苦悩がよくわかります」

 朱里が溜め息とともに有名な格言を言う。
 俺も同意だよ……もっとも、あの天然パー子と項羽を比べる気にもならんが。

「仕方ない……董卓軍に多少見抜かれていても、陽動を進言しよう。うちだけじゃダメだから劉表の爺さんにも言ってもらうか。借りがあると思っているだろうから、爺さんの言うことなら袁紹は聞くだろ。ただ、あの袁紹の性格からして自分を囮にするのは……ムリだろうなあ」
「だと思います……私は見ていませんけど。袁紹さんの噂を集める限りでは、相当な愚物らしいですから……あぅ」
「……雛里は、たまに毒舌家になるね」

 この子、たまにとんでもないこと言うしな……

「盾二様が悪いんですよぅ……普段の言動を鑑みてください。たまに汚い言葉使っているんですから」
「あ〜…………そうか? 俺のせいだったか……」

 たしかに俺もたまに愚痴で罵ることがあるからな。
 いかん……幼女には悪い影響だな、確かに。

「ぶぅ……朱里ちゃん。私、そんなことに影響を受ける歳じゃないよう」
「そうかなあ? 水鏡先生のところにいた頃に比べると、少し気になるよ? 気をつけてね?」
「あぅぅ…………」

 ふっ……
 朱里のお姉さんのような口ぶりに、少し頬が緩む。
 二人は、ほんとの姉妹のようにも見えた。

「やれやれ……じゃあ、劉表の爺さんに――」

 俺がそういった時、天幕に駆け込んでくる兵がいた。

「も、申し上げます!」
「こらぁ! 軍議中だぞ!」


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