反董卓の章
第8話 「…………ここまでアホだったとは」
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ったよ、あの爺ぃ……」
「ダメですよぉ、盾二様。こんなところで、そんな発言は……」
盾二様の悪態に、朱里ちゃんが窘めようとしています。
ここは自陣内の輜重隊の集結場所。
私はここで兵站の確認に紛れて、細作からの情報の整理をしています。
中央の大天幕から戻られた盾二様は、若干イライラした様子です。
正直、珍しい光景かもしれません。
「言いたくもなるって。あんな大天幕の中で天の御遣いだって、劉表が俺を紹介するんだぜ? オマケに三州同盟は俺の功績だーとか、養子にしたいーだとか」
「…………それ、前々から劉表さんが宴の席で言っていますけど、本気なんですかね?」
「今までは冗談と思ってた。でも……多分、半分以上本気のような気がする」
俺は権力争い興味ねえぞ、と頭を抱える盾二様。
朱里ちゃんと私は、お互い顔を見合わせます。
以前から劉表さんは、盾二様に惚れ込んでいるように感じていましたが……
最近、その傾向が顕著になってきたような気がします。
悪いことじゃないんでしょうけど……
「劉表の爺さん、今あんまり息子たちと仲良くないみたいなんだよ。どうにも向こうの情勢が不安定でな……その原因の一つが俺の可能性がある」
そう言って溜息をついておられる盾二様。
実の子よりも他人を褒める親なんて…………子供にとっては激しい憎悪が生まれそうです。
「……一度、本気で養子については断ったほうがいいかもしれない。荊州の政情不安は、三州同盟に不利益しか起こさないぞ」
「……そうですね。このままだと……」
朱里ちゃんは、不安げな顔で呟きます。
「やれやれ。まあ、そのことはこの連合が終わってから一度じっくり説教するとして……」
「あぅ、説教…………するんですか?」
「うん、するする」
私の言葉に平然と頷く盾二様。
か、仮にも荊州牧であり実力者でもある劉表さんを、近所の迷惑お爺さんぐらいに気安く呼んでいます。
ご、豪胆すぎますよぅ…………
「それはともかく…………どんな感じ?」
「あ、はい。まず兵站については、案の定です。二ヶ月分は持ってきましたけど、それ以上掛かるとなると……」
「二万五千人分だしな。余裕を考えて兵用は二万俵持ってきたけど、移動にかかった日数を考えると残り一月ちょっと……帰りの分を考えると一月持たないな」
「全員生き残れば……です、けど」
兵が戦えば死ぬ可能性が高いです。
それはつまり、糧食の減りも少なくなるということ。
それを見越した数で算用しました。
ですが……
「だが、俺はむやみに兵を消耗する気はないぞ。全員必ず生かして返す……なんて言うつもりはないけどな」
……盾二様。
「たとえ怪我して
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