反董卓の章
第8話 「…………ここまでアホだったとは」
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場所は、虎牢関と……その前に水関と呼ばれるもう一つの堅固な関があるそうです。まずは水関を我々だけで落としましょう。そして大変な虎牢関は、袁紹や袁術が進んで兵力を削ってくれるでしょうから……」
儂らは高みの見物か。
まあ、儂にとっては無理に名声を上げる必要などない。
劉備の嬢ちゃんは、戦闘初期に名を挙げるのだから問題ない。
確かに後になるほど楽になるわい。
だが……もし袁紹の嬢ちゃんが、虎牢関も落とせと言ってきたらどうするのじゃ?
「その時は落とします。正直、関は問題じゃありませんから」
問題はない、じゃと?
あれだけの難攻不落な拠点じゃぞ?
一体どうやるのか、と聞いたのじゃが。
「それは秘密です…………まあ、秘策はいくつも用意していますから。楽しみにして下さい」
そう言いおった。
奴の顔には、全く負けることなど微塵も考えていないという自信がある。
袁紹の嬢ちゃんのような、なんの根拠もない自信ではない。
錦帆賊での妙案のこともある。
北郷は…………稀代の軍略家じゃ。
なればこそ、その言動に信が置ける。
ほんに……ほんに、儂の子か孫であったら。
心からそう思う。
儂の後継者としておった劉gは、優しく聡明ではあるが、人望があるとは言いがたい。
そしてもう一人の息子である劉jは……強いものに靡こうとする傾向がある。
領地を守るだけならば、どちらかでもよい。
だが、これからの戦乱の世ともなれば……どちらも袁紹の嬢ちゃんにも劣る。
二人共、覇気がないのじゃ。
それゆえに……おそらくは、いつか誰かに荊州は奪われるじゃろう。
ならば……その相手は、できれば北郷を指名したい。
奴は、儂が認めた唯一の男。
この女尊男卑の世の中で、儂や何進殿同様に並み居る女の英傑たちに優るとも劣らぬ才気を見せておる。
あの男こそ……儂ら男の最後の希望になるやもしれん。
いつかは劉備の嬢ちゃんすらも超えると…………儂は睨んでおる。
口ではなんと言いつつも……あの男の奥底に眠るは、覇気。
あの曹操の嬢ちゃんにも似た素質を感じるがの。
いつか、あの二人が雌雄を決する、そんな予感がある。
その時、儂は生きてはおるまいて。
儂を恨んでおる人間もおるしの。
それが残念でならんが……
おそらく、あの二人は己の野望をかけて最後に戦うのじゃろう。
その鍵を握るのは……劉備の嬢ちゃんのはずじゃ。
北郷を覇王と成すか、それとも王者と成すか。
それは劉備……いや、玄徳の嬢ちゃん次第じゃ。
それを導くのが、儂の最後の老婆心になるのじゃろ
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