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悪霊と付き合って3年が経ったので結婚を考えてます
1年目

冬B*Part 2*〜氷のように温かな〜
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 それを聞いてあたしはテーブルにうつ伏せ、声を上げて泣いてしまった。
親父の持つ冷たさの中にはここまで温かいものがあったのだ、と。
そんなあたしを(なだ)めるようにお袋はあたしの頭を優しく撫でていた。その(てのひら)からは気持ちの良い温もりが伝わってくる。

「それでも私は本心ではあなたに自分の夢を叶えて欲しいって思っているの。あの人が叶えられなかった夢をあなたに叶えて欲しいのよ。きっとあの人も心の底ではそう思っているはずよ」

 その言葉にハッとして顔を上げると、そこには優しそうに微笑むお袋の顔があった。
それを見てあたしは手で自分の目を擦り、涙を(ぬぐ)う。
あたしの目の周りは涙で化粧が落ち、真っ黒になってしまっていた。

あたしはお袋の言葉を聞いて決心した。
やっぱり夢を諦めたくない。

 そう思い、強い眼差しでお袋を見つめると、お袋は微笑みながら小さく頷いてくれた。
そんな時―――

ワンワンワン!!!

家の庭からラブが鳴く声が聞こえてきた。
その声が指し示す意味に予想が付いてしまったあたしは椅子を跳ねのけ、急いで玄関へと向かった。

「拓海!!!!!!」

 力強く玄関の扉を開け放つと門の外で正座の体勢で鎮座する拓海の姿が目に飛び込んできた。ラブは門から一向に離れようとしない拓海に不信感を覚えたのか、まだ吠え続けている。あたしが出てきたことに気付いたのか、拓海は顔を上げると“おう”とあたしに向かって手を振ってきた。

「愛華、こいつなんとかしてくれよ。さっきからずっと吠えられっぱなしなんだ」

拓海は、ははっ、と笑いながらあたしに話しかけてくる。あれからずっとそこにいたからだろう。寒さからか、その声は震えていた。

「拓海、何してんだよ!? 今日は帰れって言っただろ!?」

そんなあたしの言葉に拓海はポリポリと頭を掻きながら答え返してくる。

「朝まで待て、って言われたけどさ、それじゃ治まりつかなくて。やっぱり親父さんときっちり話したかったんだ」

そんなあたしたちの声に気付いたのか、玄関からは親父と高尾さんが顔を(のぞ)かせていた。

「尼崎さん!? ずっとそこにいらしたんですか!?」

そう言って高尾さんは驚きの表情を浮かべ、手を口元へと持っていく。
親父も初めは驚きの表情を見せたが、すぐに呆れたようにため息を漏らす。

「……仕方ない。尼崎君、今日は特別に家に上がりなさい。今のままだと近所迷惑になる」

そんな親父の言葉に、あたしはあたりを見回すと声を聞きつけてか向かいの家からこちらを覗く姿に気付いた。確かにこれでは近所迷惑だ。

「ありがとうございます!!」

拓海はがばっと立ち上がると、親父に向けて深々とお辞儀をした。
あたしはそん
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