episodeT 始まりの日?
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どの勢いで衝撃を受ければしばらく頭がふらつくようで、男は鼻を押さえながらふらふらと立ち上がる。
「連れが失礼したな」
「いや、オレの記憶が正しけりゃお前ぇさんがその子に指示出してたんだが……」
「伝達情報に齟齬があってな。俺は色仕掛けで骨抜きにして情報を引きずり出せと言ったつもりだったんだが、彼女はあんたを殺すつもりだったようだ。血気盛んな奴だ」
「全然違うよ!? というか、お兄さんの『やれ』って指示はそんな意味だったの!?」
「ああ……でも悪い。頼んでおいて失礼だが……色仕掛けをする人間と一番縁遠いな、お前。無理難題を申し出てすまなかった。人間、できることとできないことがあるよな、うん」
「本当に失礼だ!?」
顔を赤くしていきり立つ少女。反応が一々可愛らしくて楽しいな。言ったら怒られるだろうが。
「なぁ……状況説明を頼みたいんだけど……」
と、そこで存在を隅に追いやられていた少年から声を掛けられる。驚きや戸惑いの中に呆れ成分が混じっているように見えるが気のせいだと思いたい。
「えーとだな……指導を願い出るためβテスター捜索中だったんだが……あのおじさんは当たりか?」
「いや、残念ながらあのおじさんは外れだ。俺がβテスターで、あいつはアンタらと同じくレクチャーを頼んできた奴だ」
「なるほど、あのおじさんも俺達と同じ魂胆だったわけか」
「おじさんじゃねぇっての! オレはクラインだ! てか、お前ぇさんも名乗ってくれよ」
男性が怒鳴りながら割り込んできた。俺もそしてこの少年もわざとだったのだが、意外とこの男性はノリがいいようだ。
「悪かった。そういや自己紹介がまだだったな。俺はハヤトだ。宜しく、クライン。……そっちは?」
「俺はキリトだ」
手を差し出し、クラインとキリト続けて握手を交わす。そんな男同士の友情を深める三人を仏頂面で眺めるお方が一人。
「お兄さん! ボクの手柄だよ!」
「よしよし、褒めて遣わそう」
詰め寄って来た少女の頭を撫でてやると、不機嫌顔はどこえやら、満足そうに頬を緩める。
「えへへ、どういたしまして…………はっ!? 子ども扱いされてる!? 違うよ、ボクも自己紹介!」
「あれで誤魔化されそうになるってどうなんだ……。仕方ない。えー、こいつはさっきログインしてすぐ知り合った少女…………少女だ。キリトもクラインもよろしく頼む」
「んなの見りゃわかるんだけどよぉ……」
「斬新な自己紹介だな……」
「お兄さん!」
「いやー、実に今更だが、俺もお前の名前聞いてなかったな、と……」
自分のことながら驚きだ。確かに先ほどまで彼女の事は少女、としか読んでいなかった。それで不便なく意志疎通
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