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アブソリュート・ブレース――絶対双剣
episodeT 始まりの日?
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 戦く少女を尻目に俺は顎に手をやり思案に耽る。

「確かこのゲーム千人のβテスト経験者がいるはずだから、その人間とっ捕まえて吐かせればいいんじゃね?」

「ちょっと野蛮な気がするけど……うん、賛成!」

 天真爛漫とはこんな奴の事を言うのだろう。愛嬌のある笑みを浮かべ、隣でピョンピョン跳ね回る様は見ていて飽きない。だからだろうか、俺もつい悪ノリしたくなってしまう。

「では少女よ、手始めに手頃なβテスターを吊し上げてきてくれ」

「アイアイサー!」

「……はい?」

 屈託ない笑顔で即答され、頓狂な声が上がる。
 そもそも、初対面でうっかり初心者同士出くわしたせいでこんな状態に陥っているのだ。人相だけでβテスターだとわかるなら苦労するはずがない……

「んー……あっ、あの人凄い勢いで路地裏に入った! お兄さん、怪しい人を発見しました!」

 そんな俺の胸中の疑問は彼女の能天気は発言で消滅した。なるほど、適当に辺りを付けて突撃する魂胆らしい。どうにも行き当たりばったりな作戦だが、どうせこちらに良案がある訳でもない。

「しゃーねぇ、乗ってやるか……。よし少女よ、そいつをひっ捕らえるぞ!」

「サー!」

 またしても目立ちまくっている気がするが、一度恥をかいたのだ。二度目は慣れたから大丈夫だろう精神論だ。号令共に二人で駆け出す。
 人を縫うように走り、少女に追随する。どうでもいいが、男の俺が全力でおいかけて距離を詰められないとは、無駄にハイスペックな少女だ。無論、初期アバターのステータスは男女平等であるだろうから、最高速度自体は大差ないはずではある。しかし、ゲームの手腕はともかく運動神経にはそれなりに自信のある俺からすれば地味に驚きだ。何かリアルでスポーツでもしているのだろうか。
 そんなことを考えているうちに、裏道へと突入。少女が見つけたのであろう男性プレイヤーが二人向かい合って話しており――

「やれ、少女よ!」

「らじゃー! つっかまえたぁー!」

「なあ、ちょっとでいいからオレっちにレクチャーを――――へぶしっ!?」

「ちょっ!?」

 俺の号令で躊躇なく近い場所にいたプレイヤーにラグービー選手もほれぼれなタックルをぶちかます少女。全力ダッシュからの運動エネルギーを余すところなくその身に受けた男性は石畳へと鼻から突撃して奇声を上げ、いきなり喋っていた相手が吹き飛び驚く少年。
 男性がぴくぴく痙攣してしまっている。

「……命令した俺が言うのも間違ってる気がするけど、やり過ぎだろ」

「うわっ!? 大丈夫ですか、おじさん!?」

「お、おじさんって……おりゃあ、まだピチピチモテモテの二十代だぜ、嬢ちゃん」

 街中ではダメージは発生しないが、あれほ
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