第6話:小学生卒業
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、嫌いになったでしょ?」
「全然。応援には行くつもりだから、一生懸命な逢の姿を見せてくれよな。」
「うん!・・・じゃあ、わたし頑張るから、しっかりお姉さんできるように頑張るから・・・その、頑張れるように、おまじないをして欲しいの。」
・・・おまじない、って昨年の夏の、アレか?・・・なんかあのレースの後の記録会とかでも「してちょうだい」とねだられる様になったんだが・・・。今は人の目があるしなぁ・・・。逢は、・・・駄目だなぁ、そんな頬を赤らめて上目遣いされたら断れないじゃないか。お前は将来、世の男性を虜にする才能があるよ。
「分かった。おでこ出して。」
「うん!」
逢の白いおでこに俺はそっと口を触れた。周囲からの好奇の視線と後輩の女の子達の黄色い声、野郎共のひゅーひゅーと囃す声が痛い。しかし、これがスクールで出来る最後のことなら構わないかな?と俺はそんな視線を無視して、できる限り長くデコチューを続けた。
中学の入学式が済んで一週間経過した今、俺は学生服に身を纏って学生鞄を持って自宅を出た。外には、セーラー服を着た響と知子が自転車を止めて待っていた。入学式の後でも思うが、セーラー服を着た女の子って雰囲気変わるよな。二人とも大分大人になったようだぞ。
中学に上がってから、俺の家に彼女らはチャイムをならしにやってくるようになった。今日も同様である。いつものように親父達は、青春だよなぁ、両手に花よね、と我が子の様子をニヤニヤしながら抜かしやがる。何を返しても、若い若い、と笑いながら更に返されてしまうので最近は「それがどうした!」と一言発して家を出るようになった。外に出てから、二人とも何で朝こうやってチャイムを鳴らしにくるんだ、と聞き返した。知子は「朝寝坊が得意のたっくんをあたしが面倒見なくてどうするのよ」という自分の細い腰に手を当ててドヤっと返し、響はいつものように微笑を浮かべて「あら、私達とは一緒に登校したくないのかしら」と仰る。一緒に行くこと自体に文句も何も無いので、「はいはい、感謝してますよ〜」っと右手をひらひらさせて、俺は自分の自転車を取りに行く。後ろで、「ちょっと!もっと感謝しなさいよぉ〜!」という知子の声が聞こえるがスルーだスルー。
自転車に乗り、三人仲良く中学まで登校だ。小学校までは徒歩でいける距離であったが、中学だとそうも行かず自転車を使うようになった。しかし自転車での登校は、それぞれ距離が離れていた三人の家の移動を楽にしてくれるようになったので、こういう両手に花での登校が実現するようになったのである。
入学してから一週間、今日は入部届けを提出するときだ。既に三人とも水泳部に出すことで一致していたので特に問題も無かった。俺
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