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レンズ越しのセイレーン
Mission
Last Mission アルケスティス
(7) マクスバード/リーゼ港 E
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剣に考えたことなかった。ユティはずっと近くにいてくれたのに。俺は、気づけなかった…気づけないまま今日になって…こんなの俺が殺したようなもんじゃないか…! なのに、ユティの命を踏みつけてまで、カナンの地に行くのかよ!」

 その一言で、アルヴィンはルドガーの胸倉を掴んで立たせた。

「今さら寝言ぶっこいてんじゃねえぞ。『俺が殺したようなもん』? そうだよ、お前が殺したんだよ。お前だけじゃねえ。ユリウス、あんたもだ。この場の全員が全員、この子を殺したんだ」

 どん! アルヴィンは掴んでいたルドガーを突き飛ばした。

「この子が死んだのは、お前のせいで、あんたのせいで……っ…俺の、せいだよ!!」

 言い切ったアルヴィンは、呼吸も荒く肩を上下させた。

「アルフレド……」
「今! 俺たちがすべきは、こいつの遺体囲んで泣くことか? 違うだろ。カナンの地に行って、オリジンの審判にカタつけて、エルを連れて帰ることだ。そんくらいの大団円じゃねえと割に合わねえだろうが!」

 ルドガーが、ユリウスが、横たわるユティの亡骸を見下ろす。今度は何を想ったのか。

「そんくらいの意地が準備できたら言えよ。俺たちはカナンの地に行く。お前ら兄弟を守ろうとしたこの子の願いは、俺が継ぐ」

 暗に、彼ら抜きにはカナンの地に行かない、行くなら彼らを守ると。
 その意思を伝えてアルヴィンは兄弟と少女の亡骸から離れた。

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