Mission
Last Mission アルケスティス
(7) マクスバード/リーゼ港 E
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ユティの死がアルヴィンたちに与えた影響は意外と小さかった。
泣く者、落ち込む者、種々あったが、喜ぶ者は誰一人としていなかったのは、せめてもの救いか。
だがそれ以上に、彼らの誰もがカナンの地へ向かう手筈が整ったことに安堵している、それがユティの死への感情を鈍らせた、とアルヴィンは分析した。
(しっかり前見ろ、俺。ジルニトラの仲間が死んだのだって散々見てきたろうが。今さら仲間の一人や二人で動揺してどうする。まだ終わってねえんだ)
「アルヴィン……」
話しかけてきたのはエリーゼだった。エリーゼの頬には涙の乾いた跡があったが、眼球は白く、泣き腫らすほどには至らなかったらしい。
「なーに暗い顔してんだよ、お姫様。まだまだこっからだぜ」
「分かってます。でも――わたしたち、これでよかったんでしょうか?」『ルドガーもユリウスも生きてるけど、ユティにもう会えなくなっちゃったよぉ』
「――、あの子が死んで悲しいか?」
エリーゼは無言で首を縦に振った。そして、ぽつり、呟く。
「……写真」
「ん?」
「前にみんなで旅行に行った時、撮った集合写真。覚えてますか? 1回目はティポがぶつかってブレちゃって。2回目はちゃんとユティがシャッターを切ってくれて。あの写真、ユティだけ映ってなかったです。カメラマンしてたから」
エリーゼがティポリュックから出してもらったのは、水玉にピンクのカバーのフォトブック。
ページはア・ジュール地方に親睦旅行と称して行った時の、ルタス家跡地での集合写真。
「今度はちゃんと…一緒に写ってね…って、…言った、のに…っ」
じわ。エリーゼの目が涙の膜を張っていく。アルヴィンは無言でエリーゼの肩を抱き、腹に押しつけさせた。ティポもエリーゼの頭の上辺りにぐりぐりと頭を押しつけてきた。
写真、というキーワードで思い出した。今朝、ユティが唐突に渡してきた「プレゼント」。
アルヴィンは空いた右手でスーツの内ポケットに手を突っ込み、それを取り出した。
――“全部終わってから、見て”――
「何ですか…? それ」
エリーゼが顔を上げた。両手が空いたので、アルヴィンは包みの封を破き、中の品を取り出した。
レースとペーパークイリングの花々で飾られた、レザー地のミニフォトブックだった。
ページを開いてみて――アルヴィンは瞠目した。
写真に写っていたのは母レティシャだった。それもごく最近撮られたような写真ばかり。
アルヴィンは逸る気持ちのままページをめくる。
揺り椅子に座って微笑む母、ピーチパイを焼く母、使用人と談笑する母、庭の花を摘む母――全てがレティシャの幸せな姿を写していた。
(こんなもん…どうやって…いや、いつのまに
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