第2話:アマガミは人生
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情けない声が出ちまったよ、はぁ〜びっくりした。
瞼を押さえながら息を大きく吐く俺に、響は声を掛ける。
その声は、心配で溜まらないという想いが伝わってくるようであった。
「・・・泣いてたの?」
「な、泣いてなんかいないさ。」
目尻に溜まった涙を腕でこすって、響の顔をチラッと窺う。
響の顔は眉毛がハの字になって、困った表情を浮かべている。
私はどうしたらいいの、という心の声が聞こえてくる。
やれやれ、バレバレか。
こいつも知子同様、人のことを良く見てお節介を焼きたくなる人間なんだよな。
それなのに、自分の予想と反した事が起こると慌ててしまう慌てん坊さんだし。
響を困らせるわけにはいかないな。
「心配するな、ちょっと目にゴミが入っただけだ。」
俺は苦笑してそう言い、響の頭をポンッと手を置いた(年相応の少年のような笑顔を出すことは出来ない)。
響は目を閉じて、ホッと息を吐き出した。うん、これでコイツも落ち着いたかな。
俺も落ち着いたし、そこで不安そうにこちらを見ているあどけない女の子を
そろそろ安心させてあげないとね。
・・・そこのお前、精神年齢は四十路前のオッサンが何を・・・、と変な眼をするんじゃない。
決して俺はロリコンじゃないぞ。いいか、小さくて可愛いものに対しては保護欲が
発生することは父性と呼ばれるごく自然な現象であり、
俺のこの感情もそれに類するもので・・・
アーアーキコエナイキコエナイ(∩ ゜Д ゜)?こら、無視するな!
「七咲逢さん、でしょうか?」
「は、はい。ななさきあいです。」
俺の事務的な様子に対して、たどたどしくもしっかりした声で返す七咲。
いかんいかん、社会人時代の癖がまだ抜けていないようだ。反省しなければ。
その表情は新しい環境に対する緊張の色が現れているが、眼は俺と響の姿を映し、逸らすことはなかった。
七咲逢は後輩なのに主人公よりもしっかりした面倒見のいい後輩、という印象をプレイの際は受けていたけど、
この頃から七咲逢はしっかりしていたのか。
これはゲームに無い新しい発見だな。おっと、しっかりお兄さんをしないと。
「僕は遠野拓。こっちのお姉さんが塚原響。
プールのことで困った時に君を助けるお助けマンだと思ってくれてかまわないよ。
困ったことがあったら、何でも言ってね。」
「は、はい!とおのお兄さん、つかはらお姉さん、よろしくおねがいします!」
七咲の不安な顔が、邪気の無いあどけない笑顔に変わる。
子猫が気持ちよさそうにしている顔が下から目線で俺に襲い掛かる!
うっ、可愛い。こっちもついつい笑顔になってしまう。
俺のATフィールドが簡単に中和、あるいは融
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