暁 〜小説投稿サイト〜
アマガミという現実を楽しもう!
第2話:アマガミは人生
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
夏の午後4時。

スイミングスクールに初めてやってきた女の子、七咲逢と俺は出会った。



「今日から一緒に泳ぐ七咲逢ちゃんです。皆さん、仲良くしてあげてください。」
「な、ななさきあいです。よろしくおねがいします。」




ジグソーパズルを完成させようにも、ピースが足りなくて悩んでいたところに、
ピースが振ってきたようだ。
全ての違和感やデジャブに対する疑問がこの瞬間払拭された。



塚原響に川田知子。そして七咲逢。
彼女らは、前世でプレイしたゲーム「アマガミ」「キミキス」の世界の登場人物に間違いない。



そうなると新たな疑問が俺の頭に浮かぶ。
・・・つまり、俺はゲームの世界に転生してしまったのか?
しかも、何故「アマガミ」や「キミキス」なんだ?
確かに前世では、休日にゲームのプレイして面白いと思ったし、
印象に残ったゲームではあるよ。
最近は、この人生を楽しむべく、「アマガミ」「キミキス」に関する記憶は
脳の奥底に眠ってはいたが。



そうなると、この現世が俺が見ている夢の可能性が再浮上してくるぞ。
そのうち、進学して学校法人で主に構成された都市で変な超能力を手に入れたり、
2000年くらいになってセカンドなんたらが起こったりすれば、
確実に俺の夢だな、うん。


うっ・・・、そうなると「今の人生が実は全て夢でした、テヘッ☆」説が有効になってくる。
過去の人生に戻ることを諦めて、この人生を楽しもうとする俺の意思が揺らいでくる。
元に戻れるかもしれないんだぞ?こんなところでブラブラしててもいいのかよ。
もうすぐ昇進して家族に国内旅行をプレゼントするつもりだったんだろ?
一生懸命に努力して掴んだ学歴や社会地位、そして当時のことが俺に声を掛けてくる。
急に前世の俺の親父とお袋、友人達や先輩や後輩の顔が浮かんでくる。
やべっ、何か胸の奥がうずく感じだ。目じりに何か溜まってくるのが分かる。
頭の中ぐちゃぐちゃで、のどがカラカラだ。
自問自問のループに気を取られ、自分の感情がコントロール出来ない。
俺は、どうしたらいいんだ。俺は・・・。


・・・なんだよ、肩を掴むなよ。こっちは今大切な考え事しているんだ。
言いたいことがあるなら、後にしてくれよ。
肩を叩かれた方に顔を向けてみる。響だ、俺の目(多分赤みがかかっている)をじっと見ている。
その眼は俺をしっかり映すほど大きく・・・って、うぉ!顔近い!
俺は思わず仰け反り、響もそんな俺にびっくりしたのだろうか、後ろに背を反らした。



「拓君、大丈夫?先生の話をちゃんと聞いてた?あなたと私でこの子の担当をするそうよ。」
「ふぇ?あ、ああ・・・」



何だ、響か。びっくりさせるな。

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ