間話その一 あるフェザーン商人が見た景色
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ませたのである。
もちろん、それは同盟とのつながりのおかげというのはよく分かっているので、フェザーン内部は現在同盟派の春と化していたのである。
もちろん、悪がはびこるのが世の常だから、ならずもの達は少しずつ宇宙にまた広がろうとしていたが、そんなひよこどもに艦隊母艦なんて化け物の掃討などできる訳もなく。
そして、能力があるならずもので最も有望そうなのが、カストロプ公国などをはじめとしたリッテンハイム戦役の敗残者達というのだから依頼を受ける訳がない。
かくして、手当たり次第に依頼をばら撒いて、各所から嘲笑を浴びる羽目になっている。
「結局、この戦争どうなるんでしょうね?」
マリネスクがコーヒー片手になんとなしに呟く。
友愛党政権時における同盟の政治混乱につけ込んで始められた近年の帝国による同盟侵攻は、これによって完全に頓挫してしまっていた。
下手したら帝国の戦力回復には数年かかるかもしれず、また自然休戦になるのではという観測もあるにはあるのだった。
「どうだろうな。
同盟はともかく、帝国はもう一波乱あるかもしれんぞ」
「皇帝の寿命ですか」
リッテンハイム戦役によってルードヴィッヒ皇太子が薨御したのに、帝国内部の建て直しの混乱からか後継がまだ立てられていない。
そして、はやくもフェザーン商人達は、生き残ったブラウンシュヴァイク公とリヒテンラーデ候の争いを掴んでいたのである。
貴族内部がブラウンシュヴァイク公でおおよそ統一された事によって、第2次ティアマト会戦以降実力主義となった軍と利害関係が対立しだしたのである。
先に述べた私兵の帝国軍編入やコーディネーターによって管理されたシュターデン艦隊の編成などは、ブラウンシュヴァイク公の軍掌握の手段と見られており、現在の軍務尚書、統帥本部総長、宇宙艦隊司令長官と激しく対立したのである。
これに、帝国宰相であるリヒテンラーデ候が軍側についた事で宮廷内抗争にまで発展。
このままでは、内戦の建て直しどころか、更なる内戦が勃発しかねなかった。
「そうだ。
だからだろうが、同盟の方が軍備に力を入れてやがる。
あのケストレルなんてのが良い例さ」
この帝国内部の政治対立を同盟側も掴んでいるのに、イゼルローン回廊に移動要塞が置かれた事を奇貨として無人化の推奨による艦艇更新を一気に進めようとしていた。
その結果、旧型艦としてフェザーンにかなりの数の艦艇が有償譲渡されており、ボリス・コーネフの船団とてそのおこぼれをもらっているから文句は言える訳が無い。
実は、帝国内戦で敗れた連中のかなりの数が海賊化して同盟領内に逃れたので同盟領内の航路の治安が悪くなっていたのである。
その為、『ベリョースカ二世号』はフェザーン製の最新鋭巡航戦艦
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