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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
決断
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は入れないというのだったら、わざわざ飾り付ける必要などないのかもしれません」

なるほど、とレンは思う。

管理者コードという、言うなれば裏技みたいなのを使ってやっと入れるほど、つまりは一般プレイヤーが絶対に入られないようにするための物だったのならば、この内装にも納得がいく。イベントなどが発生しようもないのだから。

「まぁ、そこら辺はマイを助けた後に考えるとしよっか」

「はい、そうですね」

助けに、と綺麗に声を合わせてレンとカグラは前を、通路の先をひたと見据えた。

二人の妖精は、手を取り合って足を踏み出した。










キリトは、全てを踏み砕かんばかりに足に力を込め、漆黒の弾丸と化して疾走していた。

視界には、オフホワイトのディティールやテクスチャの一切ない、ゆるく右に湾曲した通路がどこまでも広がって、伸びている。後ろを振り返ると、こちらも同様に曲がっていた。

意識を覚醒してから、すぐさま走り出してもうかれこれ数分。

かなりのスピードで来たのだが、いかんせん距離感というものが全くと言っていいほど掴めないので、どれほど走ったのかは判らない。

「ユイ!マップはわかったか!?」

肩に掴まっているナビゲーション・ピクシーであるユイに息を乱しながら、叫ぶように訊く。

振られた小妖精は、しばしの間瞑想するかのように眼を瞑っていたが、困惑したように眼を開けた。

「やっぱりダメです、パパ!ナビゲート用のマップ情報が出てきません!」

「アスナのいる場所は!?」

訊くと、ユイは再度一瞬眼を閉じ、すぐに大きく頷いた。

「はい、確実に近付いてます。それに、動いてもいません」

「よし!!」

「しかし────」

言い淀むユイに、キリトは違和感を覚えた。

「どうした?」

「変なんです。ママと同座標上にいたIDが膨らんでいるというか、ママのIDの上に乗っかっているというか」

AIの彼女にしては、珍しく言葉が濁っている。

「乗っかってる?」

「はい。なんて言うか、ついさっきまではママのIDがそのIDの上に乗っかっていたんですけど、今は────」

「今は………、その逆だって言うのか」

「はい……」

そこまで言うと、ユイは震えを感じたように己の身を掻き抱いた。

「何だか……恐いです、パパ。ママが……得体の知れないものに侵食されてるような………」

「大丈夫だ、ママは強い」

そう、キリトは言った。

そう言ってないと、とてもじゃないが自分の逸る心を抑えていられなかったから。

胸ポケットに避難し、顔を出す娘の艶やかな黒髪を撫でる。

その時、ユイが再びハッとしたように、弾かれたように
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