第八話 〜花言葉 〜Language of flowers〜 -終花-【暁 Ver】
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二等陸尉の死という結末で。
その後、タイミングを見計らっていたかのように報道されたこの事件の真相。現役の管理局員を殺したのが、現役の局員だった事。殺された二人が、裏で何をやってきたのかも。そしてスギタ二等陸尉が、何故そのような暴挙に出たのかも。言い逃れが出来ないデータと共に。内々で処理しようと目論んでいた管理局は、火消しに躍起になったが、時すでに遅し。世論の多くもスギタ二等陸尉に同情し、矛先は管理局へと向かった。殺された二人を擁護するような発言を管理局がしたのもそれに拍車を掛けた。
結局、この事件により少なからず管理局は信用を失う事になり、女性を食い物にしていた二人の上司は降格処分となった。当然だと思うし、正直に言えば、ざまあみろという感じだ。
だけど……だけど。あたしも危険な目にあったから、色々と言いたい事はあるけれど……スギタ二等陸尉……スギタさん。あたしは……あなたは、間違っていると思います。復讐が間違っているとは言わない。間違っていたのは方法だと思う。出来れば、あなたが生きている時に言いたかったけど。
桜舞う墓地。それほど広くない墓地にひっそりと、それは存在していた。あたし達の前には真新しいスギタさんの墓標。その隣には恐らく弟さん……カイトさん。そしてカイトさんに寄り添うようにして、エミリーさんの墓標があった。
あたしはあの後、恐らく全てを知っているであろうお兄さんと連絡を取った上、問い詰めた。お兄さんは、あまり話したくない様子だったが、ぽつりぽつりと語ってくれた。あたしが感じていた違和感の氷解。そして虚しさ。お兄さんが、彼を救えなかったこと。やりきれなくて……あたしはその思いをお兄さんへと、ぶつけてしまった。良くは覚えていないが、随分と酷いことを言ったと思う。
お兄さんは言い訳をするわけでもなく、怒るでもなく。ただ、静かにあたしの言葉を聞いていた。その時のお兄さんの表情は、きっとこれからも忘れられないだろう。
スギタさんの墓標には菊。花言葉は『高貴』、『高尚』……『高潔』だそうだ。カイトさんと、エミリーさんの墓標にはお兄さんから聞いたとおり紫苑と白い薔薇を。スバルが、エミリーさんの墓標へ白い薔薇を供えようとした時、アスナが声を掛けた。
「……スバル。折れた白い薔薇はだめ」
「へ? なんで? ちょっとだけだよ?」
「……意味が変わるから」
スバルはよくわからないという顔をしていたが、恐らくアスナは花言葉のことを言っているんだろう。折れた白い薔薇の花言葉を聞こうとして止めた。知ったところでもう意味なんか無い。アスナも、それ以上は何も言わなかった。三人それぞれ複雑な思いを胸に秘めながら、黙祷を捧げると墓地を後にする。その時
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